【薬師温泉】「旅籠」で昔の日本人のくらしを体験!
みなさんが日本の国内を旅行していると、もしかしたら下の写真のような文字を見かけることがあるかもしれません。これは日本語でどう読むのか、そして何を意味するか、わかるでしょうか?
昔の「旅籠」のふんいきが残る看板と入口
ここは薬師温泉「かやぶきの郷」です。看板には、温泉の名前といっしょに「旅籠」と書いてありますね。中へ入ると、古い家が並んでいるのが見えてきます。特にめずらしいのは、屋根の構造です。
日本の伝統的な建物、「かやぶき」
「かやぶきの郷」では、昔、全国で使われていた「かやぶき」の家をここに移して、住民が実際に使っていた家具や食器といっしょに展示しています。展示からは、古い時代に日本人がどんなくらしをしていたかが伝わってきます。
香りを出す香炉
生活に使われていた食器と茶器
特におもしろいのはタンスで、商売に行く人(行商人)が背中に担いで長い距離を移動したものや、漢方薬を入れるためのものがあります。薬用のタンスには小さな引き出しがたくさんついていて、薬の種類によって入れる場所を細かく分けていたことがわかります。
商売に行く人が使っていた行商タンス
漢方薬を入れる薬タンス
「かやぶきの郷」の中を移動していく道は、たくさんの木でできています。これは鉄道で線路の下に置いている木と同じ種類で、「枕木」といいます。コンクリートとはちがい、上を歩くとやわらかい感覚が体じゅうに伝わります。
全国から集めた二万本の枕木が並ぶ
さらに奥へ進むと、たくさんの古い家が集まった「集落」になっていて、まるで映画やドラマを撮る場所のようです。ここを歩いているだけで、過去へと時間旅行をしている気分になります。
映画の中にいるような「集落」の風景
そんな時に、いきなり目の前にあの動物が出てくると、みなさんはビックリするかもしれません。なんと熊がいるのです! と言っても、もちろん本物ではありません。昔、この近くによく現れたオスの熊のことを展示しています。最近は人が住んでいる場所によく出てくる熊ですが、昔から動物と人間の関わりは大きな問題だったのですね。
熊は昔から人が住む場所に現れていた
さて、古い時代の日本を見てまわった後は、建物の中にある温泉に入りましょう。薬師温泉は今から約230年前に旅行者が発見しました。地下から自然の力で出ているお湯で、温度は40度ぐらいなので、そのまま「かけ流し」で入ることができ、筋肉や神経の痛みに良く効きます。
「かけ流し」で入ることができる新鮮な温泉
いくつかあるお風呂の内、日帰りでも入ることができる「滝見乃湯」は、すぐ目の前を滝が流れる場所です。日本ではほかに「雪見風呂」や「花見風呂」などを楽しみますが、「滝見風呂」もすぐ近くに自然を感じながら、昔の人と同じ気分を味わうことができるでしょう。
滝の流れを感じながら温泉を楽しめる
薬師温泉「かやぶきの郷」は群馬県の東吾妻町にあります。現地に行けば、観光客として中の建物を見学し、温泉に入ることができます。ゆっくり楽しみたい人は、昔のふんいきが残る「旅籠」に宿泊してみるのも良いでしょう。
文:白石誠
写真:白石誠
(2024.4.5)