金閣寺(きんかくじ)と銀閣寺(ぎんかくじ)

日本で一番(いちばん)多く国宝(こくほう)（national treasure）があるのは東京都(とうきょうと)で、その数(かず)は283あるそうです。しかし、そのほとんどは美術工芸品(びじゅつこうげいひん)で、その多くは博物館(はくぶつかん)や美術館(びじゅつかん)の中にあります。二番目(にばんめ)に多いのは京都府(きょうとふ)で、その数(かず)は237です。中でも建物の国宝(こくほう)は日本(にほん)で一番(いちばん)多く、観光名所(かんこうめいしょ)になっています。その中で海外の観光客(かんこうきゃく)にも有名なのが金閣寺(きんかくじ)と銀閣寺(ぎんかくじ)です。

では、くわしく見ていきましょう。

金閣寺(きんかくじ)は正式(せいしき)には北山鹿苑禅寺(ほくざんろくおんぜんじ)と言います。金閣(きんかく)と呼(よ)ばれているのは、舎利殿(しゃりでん)の二階(にかい)と三階(さんがい)に金箔(きんぱく)（薄(うす)い金(きん)の紙）が貼(は)られているからです。1397年に室町幕府(むろまちばくふ)第三代(だいさんだい)将軍(しょうぐん)の足利義満(あしかがよしみつ)が京都(きょうと)の北西に山荘(さんそう)を造(つく)ったのが始(はじ)まりで、1408年に義満(よしみつ)が死んだ後、お寺(てら)となりました。鹿苑寺(ろくおんじ)と言う名前(なまえ)は、義満(よしみつ)の法号(ほうごう)（死んだ時に与(あた)えられる名前(なまえ)）鹿苑院殿(ろくおんいんどの)から取(と)られました。

鹿苑寺(ろくおんじ)

舎利殿(しゃりでん)

足利義満(あしかがよしみつ)

舎利殿(しゃりでん)は1929年国宝(こくほう)になりましたが、残念(ざんねん)ながら1950年の火事で、中にあった仏像(ぶつぞう)や足利義満(あしかがよしみつ)の木像(もくぞう)と一緒(いっしょ)に焼(や)けてしまいました。今の舎利殿(しゃりでん)は1955年に新しく建てられたものです。その後何度か修理(しゅうり)されて、1994年にはユネスコ世界遺産(せかいいさん)（world heritage）になりました。

火事直後(かじちょくご)の金閣(きんかく)

寺(てら)の北側(きたがわ)にある「陸舟(りくしゅう)の松(まつ)」は、義満(よしみつ)自身(じしん)が植(う)えたと言われています。また、「夕佳亭(せっかてい)」と言われる茶室は、1868年に火事で焼(や)けてしまったので、1874年に再(ふたた)び建てられました。

陸舟(りくしゅう)の松(まつ)

茶室夕佳亭(せっかてい)

秋の紅葉(こうよう)の頃(ころ)や冬の雪(ゆき)におおわれた金閣寺(きんかくじ)もきれいです。

紅葉(こうよう)の金閣寺(きんかくじ)

雪(ゆき)の金閣寺(きんかくじ)

足利義満(あしかがよしみつ)の孫(まご)、足利義政(あしかがよしまさ)は、何度か金閣寺(きんかくじ)に来て舎利殿(しゃりでん)に上がりました。そして、後(のち)に第八代将軍(だいはちだいしょうぐん)になってから、祖父(そふ)の金閣寺(きんかくじ)を見て銀閣寺(ぎんかくじ)を造(つく)ったと言われています。

では、次(つぎ)に銀閣寺(ぎんかくじ)を見てみましょう。

銀閣寺(ぎんかくじ)も正式(せいしき)な名前ではなく、正式(せいしき)には東山慈照禅寺(とうざんじしょうぜんじ)と言います。先にできた金閣寺(きんかくじ)に並(なら)んで銀閣寺(ぎんかくじ)と呼(よ)ばれるようになりました。

銀閣寺(ぎんかくじ)は、足利義満(あしかがよしみつ)が造(つく)った金閣寺(きんかくじ)と歴史(れきし)が似(に)ています。金閣寺(きんかくじ)を訪(おとず)れた足利義政(あしかがよしまさ)は、1482年京都(きょうと)の北東に東山殿(ひがしやまどの)と呼(よ)ばれる山荘(さんそう)を造(つく)り始めました。その義政(よしまさ)が死んだ後、山荘(さんそう)はお寺(てら)となり、義政(よしまさ)の法号(ほうごう)慈照院(じしょういん)から慈照寺(じしょうじ)となりました。

足利義政(あしかがよしまさ)

銀閣(ぎんかく)と呼(よ)ばれているのは観音殿(かんのんでん)のことで、1489年に出来上がりました。観音殿(かんのんでん)は、二階建(にかいだ)てで、中には仏像(ぶつぞう)が置(お)かれている仏間(ぶつま)があります。金閣寺(きんかくじ)の舎利殿(しゃりでん)には金が使われていますが、銀閣寺(ぎんかくじ)の観音殿(かんのんでん)には銀は使われていません。どうして銀がないのか色々な説(せつ)がありますが、最初(さいしょ)から銀は使われていなかったようです。何度かの修復工事(しゅうふくこうじ)の後、1994年金閣寺(きんかくじ)とともにユネスコ世界遺産(せかいいさん)になりました。

観音殿(かんのんでん)（銀閣(ぎんかく)）

銀閣寺(ぎんかくじ)の庭園(ていえん)には、白い砂(すな)で波(なみ)の形(かたち)を表(あらわ)した銀沙灘(ぎんしゃだん)と白い砂(すな)を台形(だいけい)にした向月台(こうげつだい)があります。ここの砂(すな)はとても白いので、月の光(ひかり)を照(て)らし返(かえ)すと言われています。

銀沙灘(ぎんしゃだん)

向月台(こうげつだい)

観音殿(かんのんでん)と共(とも)に今でも昔(むかし)の形(かたち)を残(のこ)しているのが東求堂(とうぐどう)です。東求堂(とうぐどう)は1486年に建てられました。中には４つの部屋(へや)があり、書斎(しょさい)（本を読んだり、何かを書いたりするところ）や仏間(ぶつま)があります。東求堂(とうぐどう)の横(よこ)にある庭園(ていえん)もきれいです。