給食
「給食」は通常「学校給食」のことを指し、日本の小中学校で提供される昼食のことを意味します。現在、日本のほぼ全ての小学校とおよそ80%の中学校で昼食が給食として支給されています。費用は1食200~300円で、給食費として家庭から集金されます。給食は学校または地方自治体の栄養士が立てる毎月の献立表に従って調理されます。基本的に全員が同じものを食べるシステムで、食物アレルギーなど健康上の理由がない限り生徒が料理を選択することはできません(※)。安全のために刺身やサラダなど生物が出されることはありません。また、給食が出される小中学校には食堂はなく、給食は各クラスの教室で食べます。この時、担任の教員も教室で生徒と一緒に同じ給食を食べるのが習慣です。これは日本では給食が「食育」の一環として捉えられていて、教員にとっても仕事の一部と位置づけられているからです。
日本の学校給食は明治時代に山形県の小学校で始まったと言われていますが、現在の給食の形が確立するのは第二次世界大戦後の復興期の昭和20年代です。食糧事情が悪かった日本にアメリカの余剰小麦が支援物資として送られ、給食に使われるようになりました。その結果、米飯の代わりにパン、箸の代わりに先割れスプーンが使われていました。
先割れスプーン
戦後のベビーブームで生まれたたくさんの子ども達が給食を通してパンを食べるようになり、その後の日本の食生活が欧米化する一因となりました。給食に米飯が戻って来るのは国産の米が余りだした1976年(昭和51年)です。現在は給食の献立も多様化し、一ヶ月の献立スケジュールには和洋中のバリエーションだけでなく日本の郷土料理や世界の各国料理をテーマにした日もあります。子ども達は食育の一環として給食で様々な料理を味わう経験をしています。また、最近は地元でとれた食材を積極的に食べようという「地産地消」の考え方も強くなり、自分達の地域でとれた魚や野菜、そして地元で作られた味噌や醤油を給食の献立に積極的に使うという取り組みも盛んになっています。
給食の献立は栄養士が栄養バランスを考えて作るので、基本的に健康的な料理で構成されています。しかし、子どもはどうしても魚や野菜より肉を好む傾向にあります。そこで、調理師は魚や野菜の調理方法を工夫して、栄養的にも味覚的にも子どもがおいしく食べられるような料理を作る努力をしています。
※ 食物アレルギーが事前に分かっている子どもの給食は除去食(アレルゲンとなる特定の食材を除いた特別食)が作られます。