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La Liberté guidant le peuple by Ferdinand Victor Eugène Delacroix1830, Musée du Louvre, Paris
フェルディナン・ヴィクトール・ウジェーヌ・ドラクロワ(1798年〜1863年)
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ドラクロワはフランス人で、19世紀(せいき)フランスのロマン主義(しゅぎ)を代表(だいひょう)する画家です。ドラマチックな画面(がめん)の構成(こうせい)と多くの色彩(しきさい)を使った彼の表現法(ひょうげんほう)は、後(のち)のルノワール(1841年〜1919年・フランス)やゴッホ(1853年〜1890年・オランダ)をはじめ、印象派(いんしょうは)の画家たちに大きな影響(えいきょう)を与(あた)えました。
『民衆(みんしゅう)を導(みちび)く自由(じゆう)の女神(めがみ)』は情熱的(じょうねつてき)な筆使(ふでづか)いで観(み)る者を圧倒(あっとう)する作品で、ドラクロワの代表作(だいひょうさく)になりました。赤、白、青のフランス国旗(こっき)を右手に持ち、人々を導(みちび)く勇敢(ゆうかん)な女性(じょせい)は「マリアンヌ」と呼(よ)ばれ、「自由(じゆう)の女神(めがみ)」を表(あらわ)していますが、実在(じつざい)の人物(じんぶつ)ではありません。
彼女(かのじょ)の力強い姿勢(しせい)は、手前(てまえ)にいる戦死(せんし)した人々とは対照的(たいしょうてき)です。また、彼女に続(つづ)く人々は、服装(ふくそう)からわかるようにブルジョワジー(bourgeoisie)や都市労働者(としろうどうしゃ)などさまざまな社会階級(しゃかいかいきゅう)の人々で構成(こうせい)されています。みんなの表情(ひょうじょう)は厳(きび)しく、決意(けつい)を持って進(すす)んでいく様子(ようす)がわかります。
1830年の革命(かくめい)後、この絵(え)は、革命(かくめい)を記念(きねん)するためにフランス政府(せいふ)によって買い取(と)られました。しかし、あまりに政治的(せいじてき)で暴動的(ぼうどうてき)だという理由(りゆう)から、ドラクロワの元(もと)に返(かえ)されてしまいます。しかし、フランス共和国(きょうわこく)が復活(ふっかつ)した後(のち)、1874年にルーブル美術館(びじゅつかん)に収蔵(しゅうぞう)されました。
参考
https://collections.louvre.fr/en/ark:/53355/cl010065872
文:Naoko Ikegami
画像:パブリックドメイン
(2023.10.31)