「もみじ」と「紅葉」と「黄葉」
秋に葉の色が変わるこの「こうよう」「もみじ」を、春の桜とともに、日本人はとても愛してきました。
山や野原で「こうよう」「もみじ」が始まったと聞くと、わざわざそれを見に出かけます。これを「もみじがり(紅葉狩)」と言います。日本には「もみじ」がとてもきれいな場所があちこちにあります。そうした場所には、大勢の人が見に行きます。
山や野原でなくても、「もみじ」のきれいな場所はたくさんあります。たとえば、奈良や京都には「もみじ」で有名なお寺や神社がたくさんあり、やはり多くの人が見に行きます。
紅葉した山
「紅葉」「黄葉」と書いてどちらも「もみじ」「こうよう」と読むと書きましたが、ふつう「紅葉」は葉の色が紅色(=赤い色)になる木に対して使う語です。代表的な木はカエデです。カエデの葉は手のひらのような形をしているので、すぐに見つかると思います。カエデという名前は、葉の形が生き物のカエルの手のようだということから生まれたと考えられています。「カエルデ(かえる手)」→「カエデ」と変化したというわけです。
このカエデの葉を「もみじ」と言うこともあります。広島県の厳島(宮島)というところのおみやげに、「もみじまんじゅう」という有名なおまんじゅうがあります。これはカエデの葉の形をしています。
黄色になる葉の代表はイチョウです。イチョウはお寺や神社、道路のわきなどに植えられるとても大きな木です。お寺や神社に植えられるのは、イチョウは火に燃えにくいからです。10月になると実がなりますが、これをギンナンと言います。木から落ちたギンナンはとてもくさいのですが、日本人はこの実のくさい部分を取りのぞいて、中の部分を食べます。私も大好きです。
イチョウの葉
お寺にあるイチョウの大木
ギンナン
「もみじ」は、赤くなりますので別の意味でも使われます。顔が赤くなるという意味で、「顔にもみじをちらす」などと言います。恥ずかしさや怒りのために、顔が赤くなることです。
料理には、「もみじおろし」とよばれるものがあります。これは、ダイコンをすったものに赤いトウガラシを入れたり、ニンジンをすったものをまぜたりしたものです。ほんのりと赤く見えることからそのようによばれています。料理の味をおいしく感じさせるものとして使います。
もみじおろし
「もみじのような手」という言い方もあります。これは赤ちゃんや小さな子どもの、かわいらしい手のことを言います。赤ちゃんや子どもの手は少し赤くて、小さいですよね。これがカエデの葉のようにかわいらしい形をしているというので、そのように言うのです。
文:神永曉
画像:写真AC
(2023.11.28)
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