日本語多読道場 yomujp
新年を迎(むか)え、気持ちも新たになるお正月(しょうがつ)。みなさんの国では、どんな過(す)ごし方をしますか。
日本では、お正月には「年神様(としがみさま)」という新年の神様(かみさま)が家にやってきて、一年の幸福(こうふく)や健康(けんこう)をもたらすと言われています。その年神様(としがみさま)をお迎(むか)えするために、さまざまなお正月(しょうがつ)の行事(ぎょうじ)や習慣(しゅうかん)が生まれました。
今日はそれらについて楽しく読んでいきましょう。
初詣(はつもうで)
初詣(はつもうで)は、新年(しんねん)を迎(むか)えてから初(はじ)めて、お寺(てら)や神社(じんじゃ)に行くことで、一年の幸福(こうふく)や健康(けんこう)を祈ります。有名なお寺(てら)や神社(じんじゃ)には、毎年、多くの人がお参(まい)りに訪(おとず)れます。その様子(ようす)をテレビなどで見たことがある人もいるかもしれませんね。
それから、お参(まい)りの後には、おみくじを引(ひ)く人もいます。おみくじというのは占(うらな)いのひとつで、将来(しょうらい)のよい運命(うんめい)を表(あらわ)す「吉(きち)」、その反対(はんたい)の「凶(きょう)」などと書かれています。「凶(きょう)」や「大凶(だいきょう)」が出たら、がっかりしてしまいますが、おみくじの内容(ないよう)は神様(かみさま)からの言葉(ことば)なので、どんな結果(けっか)であっても、それを心にとどめて、生活(せいかつ)すればいいということです。また、おみくじは持ち帰ってもいいですが、神社(じんじゃ)やお寺(てら)におみくじを結(むす)ぶ場所(ばしょ)があり、そこに結(むす)んでもいいそうです。「神様(かみさま)とご縁(えん)を結(むす)ぶ」「願(ねが)い事(ごと)がしっかり結(むす)ばれますように」という意味があるといいます。
初(はつ)日(ひ)の出(で)
初(はつ)日(ひ)の出(で)は、文字(もじ)通(どお)り、その年の初(はじ)めての日の出のことです。見たことがありますか。
年神様(としがみさま)は、初(はつ)日(ひ)の出(で)とともに現(あらわ)れると信(しん)じられており、初(はつ)日(ひ)の出(で)を見て、一年の健康(けんこう)や幸(しあわ)せ、豊作(ほうさく)(米(こめ)などがたくさん穫(と)れること)などを祈(いの)ります。初(はつ)日(ひ)の出(で)を見るには早く起きなければなりませんから、眠(ねむ)くて少し大変(たいへん)ですが、初(はつ)日(ひ)の出(で)を拝(おが)んだら、すがすがしい気持ちで一年をスタートできそうですね。
おせち料理(りょうり)、お雑煮(ぞうに)
お正月(しょうがつ)の食べ物といえば、おせち料理(りょうり)とお雑煮(ぞうに)。どちらも豊作(ほうさく)や子孫繁栄(しそんはんえい)(子どもや孫(まご)がたくさん生まれ家族が続(つづ)いていくこと)を願(ねが)い、年神様(としがみさま)に捧(ささ)げます。そして、それを一年の健康(けんこう)と幸福(こうふく)を祈(いの)って、いただきます。おせち料理(りょうり)については、「N1以上」の「おせち料理(りょうり)」に詳(くわ)しく書かれているので、興味(きょうみ)のある人は読んでみてくださいね。ここでは、お雑煮(ぞうに)について説明(せつめい)しましょう。お雑煮(ぞうに)というのは、もちの入った汁(しる)(スープ)のことです。もちは長く伸(の)びるため、長生きするように、という願(ねが)いが込(こ)められています。お雑煮(ぞうに)には、実(じつ)にいろいろな種類(しゅるい)があり、地域(ちいき)によって、もちの形(かたち)や汁(しる)の味、中に入れる食材(しょくざい)が違います。例(たと)えば、もちの形は、一般的(いっぱんてき)に関東地方(かんとうちほう)では四角(しかく)い形(かたち)のもち、関西地方(かんさいちほう)では丸(まる)い形(かたち)のもちが使われます。汁(しる)の味は、しょうゆやみそで味をつけたものが多いですが、島根県(しまねけん)など、小豆(あずき)を使った甘(あま)いお雑煮(ぞうに)を食べる地域(ちいき)もあります。いっしょに入れる食材(しょくざい)は、その土地で収穫(しゅうかく)された海のもの、山のもので、北海道(ほっかいどう)などでは、イクラをのせるそうです。おいしそうですね。
お年玉(としだま)
お年玉(としだま)というのは、お正月(しょうがつ)に大人から子どもにあげるお金のことです。子どもにとっては嬉(うれ)しい習慣(しゅうかん)ですね。みなさんの国にもありますか。
この習慣(しゅうかん)は、昔(むかし)は今と少し違(ちが)っていて、子どもたちにあげるのはお金ではなく、おもちでした。もともとは、年神様(としがみさま)にあげたおもちを、大人が子どもたちに分けて与(あた)えた、というのがお年玉(としだま)の始まりだということです。いつの時代も、子どもは大切に育(そだ)てられ、そして、子どもたちの喜(よろこ)ぶ顔(かお)を見て、大人たちも幸(しあわ)せを感(かん)じるのでしょう。
年賀状(ねんがじょう)
これは、新年(しんねん)のあいさつのはがきのことで、お世話(せわ)になった人や親しい人に送ります。新年(しんねん)を祝(いわ)う言葉(ことば)とともに、昨年(さくねん)、お世話(せわ)になったことへの感謝(かんしゃ)や、今年も変(か)わらないお付(つ)き合(あ)いをお願(ねが)いする言葉(ことば)などを書きます。今は年賀状(ねんがじょう)を書く代わりに、メールなどを送る人も増(ふ)えており、年賀状(ねんがじょう)はだんだん減(へ)っています。
年賀状(ねんがじょう)文化(ぶんか)は、これからどのように変(か)わっていくでしょうか。
行事(ぎょうじ)や習慣(しゅうかん)は地域(ちいき)によって、また各(かく)家庭(かてい)で違(ちが)いがあります。いろいろ調(しら)べてみると、よりお正月を楽しめるかもしれませんね。
今年もいい一年になりますように。
文:新階由紀子写真:フォトAC(2021.12.19)