日本語多読道場 yomujp
4月(がつ)。
あたたかくなって、外(そと)は緑(みどり)が多(おお)くなりました。
春(はる)です。
「ケン、ケーン」
キジ
キジです。
キジは日本(にほん)の国(くに)の鳥(とり)、国鳥(こくちょう)です。
それは、キジがとてもきれいで、日本(にほん)にしか住(す)んでいない、特別(とくべつ)な鳥(とり)だからです。
キジは、日本(にほん)のいろいろな場所(ばしょ)で見(み)ることができます。
昔(むかし)の一万円(いちまんえん)札(さつ)にも、キジの絵(え)が書(か)いてあります。
昔(むかし)の一万円(いちまんえん)
(2007年4月2日発行停止。2021年現在有効)
キジは鳥(とり)ですが、飛(と)ぶのがあまり上手(じょうず)ではありません。
でも、速(はや)く走(はし)ることができます。
木(き)の上(うえ)などの高(たか)い場所(ばしょ)ではなくて、低(ひく)い場所(ばしょ)にすんでいます。
オスのキジ
キジのオス(♂)とメス(♀)は、体(からだ)の色(いろ)も大(おお)きさも違(ちが)います。
オスは顔(かお)が赤(あか)、首(くび)が青(あお)、体(からだ)は緑(みどり)で羽(はね)は茶色(ちゃいろ)です。
体(からだ)の大(おお)きさは80cmくらいです。
メスのキジ
メスの体(からだ)の色(いろ)は、茶色(ちゃいろ)や黒(くろ)です。
体(からだ)の大(おお)きさはオスよりも小(ちい)さくて、だいたい60cmです。
毎年(まいとし)春(はる)になると、オスはメスと結婚(けっこん)するためによく鳴(な)きます。
そしてオスは、ほかのオスと、ときどきけんかをします。
だから、この季節(きせつ)のオスに赤(あか)いものを見(み)せるのは危険(きけん)です。
赤(あか)いものをほかのオスの顔(かお)だと思(おも)って、近(ちか)くへ来(く)るからです。
オスの赤(あか)い顔(かお)
オスとメス
あ! こちらには、オスとメスが一緒(いっしょ)にいます。
結婚(けっこん)できたようです。
よかったですね。
5月(がつ)。
草(くさ)の中(なか)に、卵(たまご)がありました!
毎年(まいとし)5月(がつ)ごろから、メスは1日(にち)に1個(こ)ずつ、全部(ぜんぶ)で8個(こ)~12個(こ)の卵(たまご)を産(う)みます。
そして、赤(あか)ちゃんが生(う)まれるまでの3~4週間(しゅうかん)、ずっと卵(たまご)の世話(せわ)をします。
キジの卵(たまご)
6月(がつ)。
「ピィヨ、ピィヨ」
庭(にわ)の木(き)の下(した)から、かわいい声(こえ)が聞(き)こえます。
何(なん)でしょうか?
キジの赤(あか)ちゃん
あ、赤(あか)ちゃんです!
キジの赤(あか)ちゃんは、生(う)まれると、すぐ自分(じぶん)でえさを探(さが)します。
この赤(あか)ちゃんは、えさを探(さが)しているとき、家族(かぞく)と離(はな)れてしまったようです。
私(わたし)のうちで飼(か)おうと思(おも)いましたが、育(そだ)て方(かた)がわかりません。それに、うちには猫(ねこ)がいます。
家族(かぞく)と会(あ)うことができるかどうか心配(しんぱい)でしたが、林(はやし)の中(なか)に戻(もど)してあげました。
7月(がつ)。
お母(かあ)さんと、少(すこ)し大(おお)きくなった赤(あか)ちゃんを見(み)つけました。
お母(かあ)さんと赤(あか)ちゃん
私(わたし)のうちの庭(にわ)にいた赤(あか)ちゃんでしょうか。
一緒(いっしょ)に生(う)まれたはずのきょうだいは…、いません。
キジの赤(あか)ちゃんは、動物(どうぶつ)やほかの鳥(とり)などに食(た)べられて、半分(はんぶん)以上(いじょう)は死(し)んでしまいます。
頭(あたま)がよくて、強(つよ)い赤(あか)ちゃんだけが、大(おお)きくなることができるのです。
この赤(あか)ちゃんは…、きっと大丈夫(だいじょうぶ)でしょう。
次(つぎ)の年(とし)の4月(がつ)。
キジの声(こえ)が聞(き)こえます。
あのキジの声(こえ)でしょうか。
参考・遠藤公男『キジのくらし』偕成社・舟崎靖子『おしえて、ピーマン ――キジとくらした わたしの日記』偕成社
文:瀬戸稔彦
写真:Photo AC/瀬戸稔彦
効果音素材:smartomaizu
(2022.3.3)