日本語多読道場 yomujp

(ねこ)になりたい

これは(わたし)のうちの(ねこ)「シロ」、(からだ)(いろ)(しろ)いから「シロ」だ。

年前(ねんまえ)(あめ)()(ちか)くの公園(こうえん)(ひろ)った。

(ねこ)(ひと)より(とし)()るのが(はや)い。

(ねこ)の6(さい)は、(ひと)の40(さい)とだいたい(おな)じだそうだ。

だから(いま)(わたし)とシロはだいたい(おな)(とし)だ。

(わたし)名前(なまえ)は、佐藤(さとう)年男(としお)。40(さい)独身(どくしん)

北海道(ほっかいどう)(ちい)さな(まち)()まれて、大学生(だいがくせい)のときから東京(とうきょう)()んでいる。

大学(だいがく)卒業(そつぎょう)してから、東京(とうきょう)にある会社(かいしゃ)でずっと(はたら)いている。

給料(きゅうりょう)(やす)いし、ときどき残業(ざんぎょう)もしなければならない。

でも、ここでは()きな仕事(しごと)ができるし、(わる)会社(かいしゃ)ではないと(おも)う。

仕事(しごと)()毎朝(まいあさ)()()きる。

それから洗濯(せんたく)をして、掃除(そうじ)をして、ごみを()して、(あさ)(はん)(つく)って、シャワーを()びて…。

シロは…

まだ布団(ふとん)(なか)だ。

()になったらコーヒーを()んで、()(みが)いて、それから(ふく)着替(きが)えて…。

あ、シロにえさをあげるのを(わす)れていた!

「シロ、ご(はん)だよ!」

シロは…

(あそ)んでいる。

(いま)()べたくないようだ。

そして8()(いえ)()る。

「シロ、いってきます」

「二ャー」

バスに()って、電車(でんしゃ)()()えて、電車(でんしゃ)()りたら、(すこ)(ある)いて、会社(かいしゃ)()く。

東京(とうきょう)は、バスも電車(でんしゃ)(みち)も、(ひと)(おお)くて大変(たいへん)だ。

うちから会社(かいしゃ)まで、1時間(じかん)ぐらいかかる。

(いま)、シロは…

たぶん、また()ているだろう。

会社(かいしゃ)午前(ごぜん)()から午後(ごご)()ごろまで(はたら)く。

12()から1()まで(ひる)(やす)みだが、(いそが)しい()は15(ふん)ぐらいしか(やす)めない。

コンビニで()ったお弁当(べんとう)()べたら、また仕事(しごと)だ。

メール、電話(でんわ)書類(しょるい)(やま)(なが)会議(かいぎ)…。

そして、6()になったら会社(かいしゃ)()て、うちへ(かえ)る。

(えき)まで(ある)いて、電車(でんしゃ)()って、バスに()って、また1時間(じかん)

「はぁ、今日(きょう)(つか)れた」

「シロ、ただいま」

「ニャー!」

シロはずっと()ていたから、元気(げんき)だ。
「シロ、(ばん)(はん)だよ」

シロは一日(いちにち)(なに)もしていないのに、たくさん()べる。

そして、またすぐに()る。

(わたし)はこれから自分(じぶん)(ばん)(はん)(つく)って、食器(しょっき)(あら)って、お風呂(ふろ)(はい)って…。

あ、明日(あした)会議(かいぎ)準備(じゅんび)もしないと。

ああ、(わたし)(ねこ)になりたい。

参考:大森裕子著『ねこのずかん』白泉社

文:瀬戸稔彦

写真:写真AC

(2022.7.12)

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