私が住んでいる部屋には、小さいベランダがある。
そこから近所の景色がよく見える。
いつも洗たく物を干しながら、花がたくさん咲いている公園や、野菜を作っている畑を見ている。
赤い花、黄色い花、青い花…、オレンジにピンク…
大根、にんじん、トマト、キャベツ…。見ていると、元気が出てくる。
このベランダにも植物があったらいいな。ここは日がよく当たるからよく育つと思う。
店には、きれいでかわいい花がたくさんあった。
どの花を買おうか考えながら店の中を歩いているとき、花の種を見つけた。花の種は、咲いている花を買うより安いし、種が入っている袋に植え方も書いてある。じゃ、種から花を育ててみようと思った。
私は花の種とプランターと土を買って帰って、種を植えた。
あとは土がかわかないように毎日水をやれば、葉が出て花が咲くはず…。
楽しみだ。
次の日の朝、鳥の声で目が覚めた。ベランダに鳥がいるようだ。めずらしい。
窓の外を見てみると、花を植えた土の上で、小鳥が二羽遊んでいた。
ううん、ちがう。何か食べているようだ。
あ、いけない!小鳥は花の種を食べているのだ。
「だめだめ。花の種を食べないで!」
私は急いでベランダに出たが、小鳥たちは、もうどこかへ飛んで行ってしまっていた。プランターの中をよく見たけれど、土の色と種の色がほとんど同じなので、花の種が残っているかどうか、わからなかった。小鳥たちが花の種を全部食べてしまっていたら、花は咲かない。でも、もし、種が一つでも残っていたら…、ぜひ残っていてほしい!私はあきらめないで毎日水をやり続けた。
一週間ぐらい後、私はプランターの土の上に緑色の小さい葉を見つけた。
よかった。種は全部食べられていなかったのだ。
葉は2つ、3つ…、どんどん増えて、育った。でも、花は、なかなか咲かなかった。
ずいぶん背が高くなってから、やっと花が咲いた。うれしかった。
でも、私が植えたのはピンクの花なのに、咲いているのは黄色い花だ。それに花の形もこんな星の形の花じゃないはずだ。不思議だ。
不思議なことは、まだ続いた。
花が枯れた後、その下に小さくて丸い緑色の玉ができていた。緑色の玉は、どんどん大きくなって、だんだん赤くなっていった。
これは、トマトだ!
私は、びっくりした。花を植えたのに、どうしてトマトができたのか…。
よくわからないけど、おいしそうだ。
サラダにしようか、料理しようか…。スマホでトマトの料理を調べていると、小鳥の声が聞こえてきた。
私は、気がついた。小鳥たちは、花の種を全部食べてしまったけど、代わりにトマトの種を落として行ったのだ。
あ、いけない。小鳥にトマトを食べられる前にトマトをとらないと!