サラさんは、半年前にスイスから留学してきました。
古田さんの家にホームステイしながら、東京の大学で勉強しています。
サラ
冬のある日。
ご主人のたかしさんは、朝早くからゴルフに行きました。
奥さんのめぐみさんは家の掃除をしていました。
サラさんも掃除を手伝うことにしました。
古田めぐみ
「サラさん、庭の掃除、終わった?」
「はい、ちょうど終わったところです」
「じゃあ、こっちに来て。お茶でも飲みましょう」
「はーい」
「外は寒かったでしょ。どうぞ、温かいお茶とたい焼きよ」
「たい焼き? 魚?」
「ふふふ。形は魚だけど、これはお菓子」
「ほら、中にあんこが入っているでしょ」
「へえー、おもしろいですね」
「じゃあ、食べましょう」
「はい、いただきます。うん、あまくておいしい!」
「めぐみさん。あんこはどうやって作るんですか?」
「あんこは小豆を煮て作るの。この間、お赤飯を食べたでしょ? あれに入っていた豆が小豆よ」
「ああ、お赤飯の豆と同じですか?」
「そう。あんこを使ったお菓子は、たい焼きだけじゃなくて、たくさんあるのよ」
「えっ、たい焼きだけじゃないんですか。わたしはあまいものが大好きなので、興味があります。どんなお菓子があるんですか?」
「そうだ! 午後からデパートに買い物に行くんだけど、サラさんもいっしょに行かない? デパートにはたくさんあんこのお菓子があるわよ」
「はい、ぜひ行きたいです!」
めぐみさんとサラさんは、デパートへ出かけました。
そして、めぐみさんの買い物が終わって、二人は地下のお菓子売り場に行きました。
「めぐみさん、これは何ですか?」
「これは、まんじゅう。小麦粉で作った皮にあんこを入れて蒸して作るの」
まんじゅうを蒸す
「ふうん。丸くてかわいいですね」
「これは羊羹。あんこを固めて作るのよ」
「きれいな形ですね」
「主人は羊羹が好きだから、お土産に一本買って行こうかしら」
「たかしさんもあまいものが好きなんですね」
「これ! 知ってます。どら焼きですね。アニメで見ました」
銅鑼
「そう。形が銅鑼っていう楽器に似ているから、どら焼きという名前になったそうよ」
「これもまんじゅうですか?」
「ううん、これは大福。餅の皮であんこを包むのよ」
「へえー」
「これも大福よ。いちご大福」
「おいしそう! これ、買います!」
「いろいろな果物を入れたフルーツ大福が人気なのよ。じゃあ、ちょっとつかれたから、休みましょう。この近くに、いいお店があるのよ」
「はい」
二人は「甘味処 杜」という店に入りました。
そこで、めぐみさんが注文したのは……
「お汁粉よ。寒いときには、これが一番!」
「わあ、すごい! 温かいあんこ! この白いのは何ですか?」
「焼いたお餅よ」
「へえー」
お汁粉を食べたあと、めぐみさんはサラさんにメニューを見せて言いました。
「このお店は、あんみつも、とってもおいしいのよ」
「わあー、果物がたくさん! おいしそう!」
「それから、夏は抹茶味のかき氷にあんこをのせた宇治金時がおすすめよ」
「それも食べてみたいです! あー、早く夏が来ないかなあ」
文:遠藤和彦
写真:写真AC
イラスト:イラストAC
(2023.3.14)