日本の現代お笑い文化
「お笑い芸人」という職業を知っていますか。「お笑い」とは、笑うことです。そして「芸人」とは、芸、つまり何かの技術を持っている人のことを意味します。つまり、「お笑い芸人」とは、面白いことをしたり、面白い話を言ったりして、お客を笑わせる人たちのことです。
ここでは、「漫才」「コント」「ピン芸」という3つの種類を説明し、日本の現代のお笑い文化について紹介しましょう。
1つ目の「漫才」とは、面白い会話を通して、お客を笑わせることです。普通、漫才には、「ボケ」と「ツッコミ」がいます。「ボケ」とは、おかしいことを言ったり、変なことをしたりして、お客を笑わせる人のことです。一方で「ツッコミ」とは、「ボケ」が言ったおかしいことや、変なことを直すことで、お客に面白いところをよりわかりやすく伝える人のことです。
次の会話例を見てください。
A:昨日はテストのことが心配で、夜しか寝られなかったよ。
B:いや、夜はしっかり寝たんだね!
この場合、Aがボケで、「夜しか寝られなかった」とおかしいことを言っています。それに対してツッコミのBは、「夜はしっかり寝たんだね」のように、Aの言った内容を直して、笑えるところをお客によりわかりやすく伝えています。これがボケとツッコミです。
マイクを中央にして、男性お笑い芸人が漫才をしている。
次に「コント」です。「コント」とは、ある場面・状況を作り、その中でそれぞれの役割を演じながら、お客を笑わせることを指します。例えば、「レストラン」というコントをする場合、あるお笑い芸人は店員の役になり、別のお笑い芸人はお客の役になります。その会話の中で見ている人を笑わせていくのです。下の会話例を見てください。
X:すみません、ハンバーグセットを1つください。
Y:かしこまりました。ラーメンセットですね。
X:いえいえ、違います。ハンバーグセット1つです。
Y:かしこまりました。少々お待ちください。
X:早く来ないかなあ。
Y:お待たせしました。お子様ランチです。
X:全然違うから!
このコントでは、Xがお客の役で、Yが店員の役を演じています。コントの場面・状況は、現実的なものから現実的ではないものまで、自由に作ることができます。
1人がお寿司屋さんの料理人になり、1人が魚になってコントをしている。
最後が「ピン芸」です。「ピン」とは、ポルトガル語の「pinta(点)」ということばから来ていて、「1つ」のことを意味します。つまり、舞台に1人で出てきて、お客を笑わせるのです。
例えば、「漫談」もその1つです。「漫談」とは、面白い話をすることです。
1人で面白い話をする漫談
ほかにも、「フリップ芸」というものがあります。「フリップ」とは、大きなボード(板)のことです。この「フリップ」に、面白いことばや絵などを書いておき、それを順番にお客に見せていき、笑わせます。
フリップを使ってお客を笑わせるフリップ芸
また、「歌ネタ」というものもあります。ネタとは、お笑い芸人がお客に見せる芸のことですから、「歌ネタ」とは、面白い歌を聞かせて笑わせることを意味します。
面白い歌を聞かせて笑わせる歌ネタ
文:高嶋幸太
写真:岡野秀夫
イラスト:イラストAC
(2022.5.31)