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(もん)がまえの漢字

コンコン、あ、友だちが来ましたね。ドアを「()け」ます。「こんにちは」。楽しいおしゃべりの(あと)、友だちが帰ります。「さようなら」。ドアを「()め」ます。

()ける、()めるの漢字には、「(もん)がまえ」という部首(ぶしゅ)が使われています。(もん)は、家の出入り口にあります。

さあ、(もん)がまえを使った漢字を見ていきましょう。

一を(もん)の中に入れると「(かんぬき)」という漢字になります。(かんぬき)とは、(もん)(ひら)かないようにするための横木(よこぎ)金具(かなぐ)のことです。長い木が(もん)の中に入っているように見えますね。

(あいだ)」という漢字は、(もん)の中に日という漢字を書きます。「間」には、物と物との間「空間(くうかん)」という意味と、(みじか)い「時間(じかん)」という意味があります。
木を(もん)の中に入れると「(しず)か」になります。「(しず)か」は、動きが少ない、音が少ない、という意味ですが、「(しず)か」は、人の出入(でい)りがなくて、ひっそりしている、邪魔(じゃま)なものがない、という意味です。

江戸時代(えどじだい)松尾芭蕉(まつおばしょう)(1644年~1694年)という俳人(はいじん)東北地方(とうほくちほう)(たび)して、「(しずさや (いわ)にしみ()る (せみ)(こえ)」という俳句(はいく)()みました。

外の(せみ)(こえ)はうるさいですが、ここでの(しず)かは外の音ではなく、心の()()きを表しています。つまり、(いわ)にしみ()んでいくほど大きな(せみ)(こえ)がするからこそ、反対(はんたい)に山のしずけさが(かん)じられて、心の中は(しず)かで()()いている、と考えられます。
(かん)(けい)」は、何かとの(かか)わり、つながり、という意味(いみ)です。(たと)えば、「(にん)間関(げんかん)(けい)」「上下(じょうげ)(かん)(けい)」のように使います。
(かく)」という漢字は、(もん)がまえに各という漢字を書きます。(かく)は、高くて立派(りっぱ)な建物という意味です。「(きん)(かく)()」は、金色に(かがや)立派(りっぱ)なお寺で、「(ぎん)(かく)()」は、()()いた雰囲気(ふんいき)立派(りっぱ)なお寺です。また、「内(かく)」は、国会で決められた法律(ほうりつ)予算(よさん)(もと)づいて、国の仕事を進めていく機関(きかん)です。
(ばつ)」という漢字は、(もん)がまえに伐という漢字を書きます。(ばつ)は、(もん)の中に仲間(なかま)(あつ)まるようなイメージで、力を持つ集団(しゅうだん)やグループという意味があります。 「()(ばつ)」は政治(せいじ)などのグループ、「(ざい)(ばつ)」はお金持ちの一族が経営(けいえい)する企業(きぎょう)グループのことです。
本や資料(しりょう)を読むこと、また、調べながら読むことを「(えつ)(らん)」と言います。図書館(としょかん)には本を読む部屋(へや)、つまり「(えつ)覧室(らんしつ)」があります。
(やみ)」は、(くら)い、(ひかり)がない、という意味です。(もん)がまえの中に(おと)()()めているのが、おもしろいですね。
耳を門の中に入れると「()く」になります。何かを()くのは、(みみ)ですから、わかりやすいですね。
最後(さいご)に、「(たたか)う」という漢字も(もん)がまえの漢字です。「(たたか)う」は、病気(びょうき)差別(さべつ)など、目に見えないものや困難(こんなん)()()えようとするときに使います。

文:Naoko Ikegami

画像:日本語の絵/イラストAC/写真AC/パブリックドメインQ

(2025.9.9)

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