唐津焼

今回は唐津焼をご紹介します。
唐津焼は、佐賀県唐津市を中心に作られている陶器です。

唐津焼は素朴で土の味わいがあります。日常生活の中で使われるものから、茶道で用いられるものまで、さまざまです。また、作り方や焼き方の違いで、次のような種類があります。
「絵唐津」
花や鳥、草木などを描いたものです。唐津焼は日本で初めて筆で絵が描かれた焼き物と言われていて、使うだけでなく、見て楽しむこともできます。

提供:(一社)唐津観光協会
「朝鮮唐津」
黒と白の2種類のゆう薬(色を付ける薬)を使います。2種類のゆう薬が溶け合って、美しい色になります。

提供:(一社)唐津観光協会
「斑唐津」
1580年ごろから作られていたのではないかと言われている、伝統的なスタイルです。表面に黒や青などの点が現れます。

提供:(一社)唐津観光協会
唐津焼には「作り手8分、使い手2分」という、ものづくりの哲学があります。これは、作る人が作品の80%を作って、残りの20%は使うことによって作品が完成するという意味です。皿に料理を盛り付けたり、花瓶に花を生けたりすることで、作品は生きるのです。コーヒーもお酒もよりおいしく感じられそうですね。


唐津焼の歴史を見てみましょう。
唐津焼は1580年ごろに始まったと言われます。初めは食器などの日常生活で使われるものが中心でした。唐津焼は京都や大阪などでも使われるようになり、日本の西側では、焼き物のことを「からつもの」と呼ぶくらい広まっていったようです。その後、素朴な味わいが茶道の世界でも好まれ、茶道の茶碗としても使われるようになりました。茶道の世界には「一楽二萩三唐津」という言葉があり、唐津焼は楽焼、萩焼と並んで愛されていたようです。
しかし、明治時代(1868年~1912年)になると、唐津焼のような陶器ではなく、有田焼などの磁器がブームになり、唐津焼はあまり作られなくなりました。その後、中里無庵(1895年~1985年)という人が唐津焼の技術などを調べて、もう一度唐津焼を作り始めました。一度は失われた唐津焼を生き返らせた中里無庵は、1976年に重要無形文化財保持者(人間国宝、living national treasure)になりました。
今は多くの人が伝統的な唐津焼を守りながら、新しい作品作りも行っています。2012年には「唐津やきもん祭り」が始まり、たくさんの人でにぎわっているようです。機会があったら、足を運んでみてはいかがでしょうか。

提供:(一社)唐津観光協会
新階由紀子
画像:(一社)唐津観光協会/写真AC
(2025.3.14)