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力士(りきし)地位(ちい)のよび()

すもう力士(りきし)とよばれる二人が、土俵(どひょう)という競技場(きょうぎじょう)(たたか)います。力士(りきし)には()められた地位(ちい)があります。一番(いちばん)上の地位(ちい)を「横綱(よこづな)」、一番(いちばん)下の地位(ちい)を「(じょ)(くち)」と言います。地位(ちい)順序(じゅんじょ)はすもうの成績(せいせき)によって()まります。そしてそれぞれの力士(りきし)の名前を、地位(ちい)順序(じゅんじょ)にしたがって(なら)べて書いたものを「番付(ばんづけ)」とよんでいます。

番付(ばんづけ)

横綱(よこづな)力士(りきし)一番(いちばん)上の地位(ちい)です。ただ(むかし)は、横綱(よこづな)地位(ちい)を意味する語ではありませんでした。力士(りきし)は上の地位(ちい)になると、(うつく)しい色の(いと)()や文字、もようなどを表現(ひょうげん)したものを、からだの前の部分(ぶぶん)(こし)からさげることがゆるされます。これを「化粧(けしょう)まわし」といいます。横綱(よこづな)は「大関(おおぜき)」という地位(ちい)力士(りきし)の中で、この「化粧(けしょう)まわし」の上に、神社(じんじゃ)などでも使われる「四手(しで)」とよばれる紙をたらした、白い(つな)をしめることを特別にゆるされた力士(りきし)のことでした。つまり、むかしは大関(おおぜき)力士(りきし)としては一番(いちばん)上の地位(ちい)だったのです。やがて大関(おおぜき)よりも上の地位(ちい)として、「横綱(よこづな)」が生まれたのです。

四手(しで)

化粧(けしょう)まわしの上にしめられた白い(つな)

むかしは強い力士(りきし)を「(せき)」「関取(せきとり)」とよんでいました。今でも「十両(じゅうりょう)」という地位(ちい)以上の力士(りきし)をよぶとき、その力士(りきし)のしこ名(名前)に()けて「○○(ぜき)」と言います。また、「十両(じゅうりょう)」以上の力士(りきし)を「関取(せきとり)」とも言います。この「(せき)」の中で特に強い力士(りきし)を「大」の字をつけてよぶようになったのが「大関(おおぜき)」です。この大関(おおぜき)横綱(よこづな)になるためには強くなければならず、力士(りきし)ならだれでもなれるというわけではありません。この地位(ちい)になれる力士(りきし)はほんのわずかなのです。

大関(おおぜき)」のすぐ下の地位(ちい)が「関脇(せきわけ)」です。「(せき)」は強い力士(りきし)という意味、「(わき)」はその(つぎ)地位(ちい)という意味です。「関脇(せきわけ)」の下の地位(ちい)は「小結(こむすび)」です。ただなぜ「小結(こむすび)」と言うのかよくわかっていません。「大関(おおぜき)」「関脇(せきわけ)」ではない上の地位(ちい)力士(りきし)どうしが、「(むす)びの一番(いちばん)」とよばれるその日の最後(さいご)勝負(しょうぶ)をしたことから生まれた語だという(せつ)があります。

さらに下の地位(ちい)は、「前頭(まえがしら)」です。その第一位(だいいちい)を「前頭(まえがしら)筆頭(ひっとう)」と言い、以下地位(ちい)が下になると「前頭(まえがしら)二枚目(にまいめ)三枚目(さんまいめ)、…十枚目(じゅうまいめ)」などと言います。この「前頭(まえがしら)」以上の力士(りきし)を「幕内力士(まくうちりきし)」と言います。

さらにその下の地位(ちい)が「十両(じゅうりょう)」です。むかしは年に10(りょう)のお金がもらえたことからこのようによばれるようになりました。「(りょう)」はむかしのお金の単位(たんい)です。

一両(いちりょう)

さらにこの下に、「幕下(まくした)」「三段目(さんだんめ)」「序二段(じょにだん)」「(じょ)(くち)」という地位(ちい)があります。力士(りきし)になると、ふつうは「(じょ)(くち)」という一番(いちばん)下の地位(ちい)から始めるわけですから、「前頭(まえがしら)」の力士(りきし)になるにはとてもたいへんなのです。

ましてや、前頭(まえがしら)上位(じょうい)や「小結(こむすび)」以上の地位(ちい)になれるのはほんとうにわずかな力士(りきし)だけなのです。そして、「横綱(よこづな)」以外は年に6(かい)行われる「本場所(ほんばしょ)」とよばれる勝負(しょうぶ)で、()けた回数(かいすう)()った回数(かいすう)よりも多くなると地位(ちい)が下がってしまいます。そのため力士(りきし)はたくさん練習(れんしゅう)(すもうでは「稽古(けいこ)」と言います)をしなければならないのです。

文:神永曉

画像:写真AC/パブリックドメイン

(2024.1.26)

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