いい湯だな~関東の温泉めぐり【入門編】
みなさんは日本の「温泉」について知っていますか?温泉とは地面の下から出てくるお湯のことです。日本には火山が多いので、地下にたまった雨や雪が、熱であたたまりやすくなっています。そこに地震などが起こると、地面がはげしく動いて温泉が出るのです。日本は世界でも特に温泉の多い国です。
温泉の中には、みなさんの想像とはちがうものもあります。例えば温泉はとても「熱い」か「あたたかい」ものだと思っている人が多いでしょう。実際には、プールと同じぐらい冷たい温泉もあります。日本の法律では、温度が低くても、お湯の中に特別な成分が一つでも入っていれば、温泉として認めているからです。
みなさんの国では、温泉は国の偉い人やお金持ちが行くリゾートのようなイメージがあるかもしれません。でも日本人にとって温泉は、普通の人の生活と関係が深いものです。医療がまだ進んでいなかった時代に、温泉は人々にとって病気やけがを治すために必要な手段でした。温泉に滞在して病気を治す「湯治」という言葉は、そこから生まれました。
温泉には、自然の力で出ているものだけでなく、人が機械を使い地面の下まで掘って出てきたものもあります。ですから今の日本には、自然が豊かな場所だけではなく、大きな都市や町の中にも温泉があるのです。みなさんは「スーパー銭湯」というのを聞いたことがありますか?日帰りで行ける温泉のことです。普通の「銭湯」と似ていますが、「スーパー銭湯」ではお湯に入るほかに食事や休憩もできます。
外国人が日本の温泉に入ろうとするときに一番驚くのは、男の人と女の人が入るところが別々になっていて、他の人と同じお湯に裸で入ることでしょう。みなさんの国では、もし温泉がある場合でも、水着を着て入るのが普通だと思います。日本の習慣を「面白い」と感じる人もいますが、知らない人がいる所に何も着ないで入るのは「嫌だ」とか「恥ずかしい」と言う人もいます。そんな人には、家族や友人だけで温泉を楽しめる「家族風呂」がおすすめです。
温泉の種類や効果はいろいろです。例えば「酸性」の温泉は、1円玉を中に入れておくと数日で溶けてしまうほど刺激が強く、傷や腰痛によく効きます。「アルカリ性」の温泉はお肌に優しく柔らかで、美容効果があると言われています。日本の温泉は種類が多く、同じ温泉地で全く別のお湯が出ているところもあります。
自然に恵まれた日本では、春は桜、夏は新緑、秋には紅葉、そして冬になると雪景色が見られます。花見温泉、紅葉温泉、雪見温泉など、四季の変化といっしょに楽しめる温泉は、みなさんの身体と心を穏やかにしてくれるでしょう。
日本の温泉地には有名な観光名所が多く、人気のアニメ作品に登場する建物もあります。温泉卵、温泉まんじゅうなど、温泉から生まれた食べ物の文化も、楽しみの一つです。
「日本の温泉」シリーズでは、これから群馬県の温泉地を旅しながら、ぜひ見てほしいところを紹介していきます。日本には、誰でも知っている「いい湯だな」という曲があります。みなさんもぜひ、「いい湯」の気分を味わってみませんか?
文・写真:白石誠
(2022.6.17)