イヌは、むかしから人間にかわれていました。日本でも、縄文時代とよばれるときから、イヌが人間と一緒にいたことがわかっています。縄文時代は今から12000年前に始まり、今から2400年前くらいまで続いたと考えられています。その縄文時代に使われていたものや食べたあとの貝がら、動物の骨などが土の中に残っているところがあります。そこでイヌの骨も見つかるのです。
縄文時代にいたイヌと同じ種類かどうかはわかりませんが、日本では、秋田犬、北海道犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、柴犬などといったイヌが人間にかわれてきました。これらのイヌは、「あきたいぬ」などのように「犬」という漢字を「いぬ」と読みますが、「あきたけん」のように「けん」と読むこともあります。
秋田犬
甲斐犬
柴犬
イヌは長い間人間にかわれていましたので、昔話に登場したり、ことわざに使われたりしています。イヌのことわざには次のようなものがあります。
いぬが西向きゃ尾は東
イヌの顔と、尾（しっぽ）のあるお尻とは反対側にあります。ですから、顔が西の方角を向けば、尾は東の方角を向くわけです。あたりまえなことですので、あたりまえのことを言うときに使います。
いぬと猿
イヌとサルは、すぐにけんかをする仲の悪い動物だと考えられていました。それから仲が悪いことをいいます。「犬猿の仲」とも言います。「猿」はサルのことです。
犬猿の仲
いぬは人に付き、猫は家に付く
イヌかネコのどちらかをかっている人が引っ越しをするとき、イヌは人について家をでるけれど、ネコはその家に残るという意味です。イヌとネコの性質のちがいを表したことわざです。
イヌは人に、ネコは家に
いぬは三日かえば三年恩を忘れぬ
イヌはかいぬしにとてもよくなつき、三日かえば大切にしてくれたことを忘れないという意味です。これから、イヌも大切にされたことを忘れないのだから、人間も大切にしてくれたことに対して感謝の気持ちを忘れてはいけないという意味で使います。
いぬも歩けば棒にあたる
このことわざにはふたつの意味があります。ひとつは、なにかをやっているうちには、思いがけずよいことに出会うという意味です。もうひとつは、なにかをしようとすると、思いがけず悪いことに出会うという意味です。お気づきだと思いますが、まったく反対のふたつの意味があるのです。どちらの意味で使っているのか、判断にまようこともあります。
イヌを使ったことわざはほかにもたくさんあります。イヌはむかしから人間の身近にいたので、こうしたことわざが数多く生まれたのでしょう。
文：神永曉
写真：写真AC
イラスト：イラストAC
(2023.12.22)
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