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日本の行事(ぎょうじ)「年越(としこ)し②」
今の年を送って新しい年を迎(むか)えることを「年越(としこ)し」といいます。1年の最後(さいご)の日の12月31日、みなさんはどのように過(す)ごしますか。何か特別な食べ物はありますか。今日は12月31日の過(す)ごし方について、一緒(いっしょ)に読んでいきましょう。
大晦日(おおみそか)
その月の最終日(さいしゅうび)のことを「晦日(みそか)」といいますが、12月31日は1年の最後(さいご)の晦日(みそか)なので、「大晦日(おおみそか)」といいます。お正月(しょうがつ)には「年(とし)神様(がみさま)」という新年の神様(かみさま)がやってくるとされ、大晦日(おおみそか)には寝ずに年(とし)神様(がみさま)を迎(むか)えて新年の幸せを祈(いの)る習慣(しゅうかん)がありました。今も日付(ひづけ)が変わるまで起きていて、そのまま新年を迎(むか)える人は多いようです。みなさんの国でもそうでしょうか。
年越(としこ)しそば
大晦日(おおみそか)には「年越(としこ)しそば」を食べます。どうしてそばを食べるのでしょうか。さまざまな説(せつ)があるようですが、今日はその中のいくつかをご紹介(しょうかい)します。鎌倉(かまくら)時代(じだい)(1185-1333年)、年の終わりに、あるお寺で、そば粉(こ)で作った「そば餅(もち)」を貧(まず)しい人々に配(くば)りました。すると次の年、そのそば餅(もち)を食べた人々が運(うん)に恵(めぐ)まれたことから、そば餅(もち)を食べるといいことがあると評判(ひょうばん)になりました。そして、毎年食べるようになり、江戸(えど)時代(じだい)(1603-1868年)の中ごろには、全国に広まっていたようです。そのほか、そばは細くて長いので、長寿(ちょうじゅ)、つまり長(なが)生(い)きを願(ねが)って食べるという説(せつ)、そばはほかの麺(めん)に比(くら)べて切れやすいので、その年の悪いことを切ってくれるという説(せつ)などもあります。
年越(としこ)しそばは地域(ちいき)によって違(ちが)いがあります。岩手県(いわてけん)などでは「わんこそば」というお椀(わん)に入った温かいそばを自分の年齢(ねんれい)の数(かず)だけ食べるそうです。香川県(かがわけん)などでは、そばの代(か)わりにうどんを食べるといいます。沖縄県(おきなわけん)では、そば粉(こ)ではなく小麦粉(こむぎこ)で作った「沖縄(おきなわ)そば」を食べるようです。家庭(かてい)によっても違(ちが)うでしょうね。みなさんだったら、どんなそばを食べますか。
わんこそば
うどん
沖縄(おきなわ)そば
除夜(じょや)の鐘(かね)
大晦日(おおみそか)の夜のことを「除夜(じょや)」といいます。大晦日(おおみそか)の夜には「除夜(じょや)の鐘(かね)」といって、夜11時半ごろからお寺で鐘(かね)をつく行事(ぎょうじ)が行(おこな)われます。これは仏教(ぶっきょう)の行事(ぎょうじ)で、鎌倉(かまくら)時代(じだい)に中国から伝(つた)わり、江戸(えど)時代(じだい)にかけて全国のお寺に広がって、大晦日(おおみそか)の伝統(でんとう)行事(ぎょうじ)になったということです。多くのお寺では、108回、鐘(かね)をつくようですが、どうして108回つくのでしょうか。いくつかの説(せつ)がありますが、よく知られているのは、煩悩(ぼんのう)といって、人を苦(くる)しめ、悩(なや)ますものが108あり、鐘(かね)を108回つくことで、その煩悩(ぼんのう)を追(お)い払(はら)うという説(せつ)です。お寺によっては、お坊(ぼう)さんがつくだけではなく、一般(いっぱん)の人々もつくことができるので、機会があったら、鐘(かね)をついてみましょう。煩悩(ぼんのう)を追(お)い払(はら)ったら、新(あら)たな気持ちで新年を迎(むか)えることができるかもしれません。
みなさん、今年はどんな一年でしたか。どうぞよいお年をお迎(むか)えください。
文:新階由紀子
写真:写真AC
イラスト:イラストAC
(2022.12.16)