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(おに)

妖怪(ようかい)」は、「お()け」、「(あやかし)」、「(もの)()」とも()ばれ、古くから日本の歴史(れきし)登場(とうじょう)しています。中世頃(ちゅうせいごろ)からその姿形(すがたかたち)(えが)かれるようになり、(こわ)いイメージが定着(ていちゃく)してきました。しかし、最近では漫画(まんが)『ゲゲゲの鬼太郎(きたろう)』やゲームからアニメや映画になった『妖怪(ようかい)ウォッチ』などの影響(えいきょう)で、「(こわ)い」より「可愛(かわい)い」イメージを持つ人が()えてきています。では、どんな妖怪(ようかい)がいるのでしょうか。

日本の昔話(むかしばなし)童話(どうわ)によく出てくるのが「(おに)」です。(おに)は、体が大きく、(はだ)の色は、青、赤、()(みどり)(くろ)の五色で、それぞれ「青(おに)」「赤(おに)」「()(おに)」「(みどり)(おに)」「(くろ)(おに)」と()ばれます。また、頭に(つの)があり、口にも(きば)があります。(ゆび)には(するど)(つめ)があり、手には金棒(かなぼう)を持っています。

(おに)と赤(おに)登別(のぼりべつ)温泉(おんせん)

(おに)は、このような姿形(すがたかたち)のため、強くて(おそろ)しいものだと考えられてきました。昔話(むかしばなし)の「桃太郎(ももたろう)」に出てくる(おに)は、(おに)ヶ島(がしま)に住んで、いろいろな所から宝物(たからもの)(ぬす)んでいました。また、京都の大江山(おおえやま)には、酒呑童子(しゅてんどうじ)()ばれる(おに)がいて、山から()りてきて(みやこ)(あら)らしていた、と(つた)えられています。

桃太郎(ももたろう)(おに)退治(たいじ)(はちのへ三社大祭)

日本では、2月3日の節分(せつぶん)に「(おに)は外、(ふく)は内」と言って(まめ)まきをします。これは、(おに)邪気(じゃき))を()(はら)行事(ぎょうじ)で、全国的(ぜんこくてき)に行われています。

節分(せつぶん)の豆まき

しかし、(おに)(かなら)(わる)いことをするわけではないようです。日本の中で、村を(まも)った(おに)がいたという伝説(でんせつ)鳥取県伯耆町(とっとりけんほうきちょう))があったり、(おに)(まつ)った(おに)神社(じんじゃ)青森県弘前市(あおもりけんひろさきし))があったりします。これ以外にもいろいろな地域(ちいき)で、(おに)(おそ)れ多いもの、(うやま)うべきもの、として(かんが)えられています。

(おに)神社

大分県国東市(おおいたけんくにさきし)では、(おに)(ほとけ)不動明王(ふどうみょうおう))と(かさ)ねられ、人々に幸せを(とど)ける(おに)として、信仰(しんこう)されています。また、愛知県奥三河地方(あいちけんおくみかわちほう)で行われる花祭りに出てくる(おに)は、大地(だいち)生命(せいめい)()き込んで五穀豊穣(ごこくほうじょう)をもたらしてくれる、善鬼(ぜんき)(かんが)えられています。

このほかにも、日本のお寺や(しろ)屋根(やね)()けられる(おに)(がわら)は、雨水(あまみず)侵入(しんにゅう)(ふせ)ぐだけでなく、(こわ)(おに)の顔を外に見せることによって、(わざわ)いから(まも)ってくれるという(かんが)えによるものです。

(おに)(がわら)

人間を(たす)けてくれる(おに)は、いろいろな話に出てきます。浜田廣介(はまだひろすけ)童話(どうわ)()いた赤(おに)』に出てくる赤(おに)もおじいさんや村の人を(たす)けてあげました。『鬼滅(きめつ)(やいば)』にも人を(たす)ける(おに)が出てきますね。

()いた赤(おに)

日本語の中にも「(おに)」の言葉(ことば)が入ったことわざがたくさんあります。3つ紹介(しょうかい)しましょう。

まず、「(おに)金棒(かなぼう)」です。これは「強い者に、さらに強い物が(くわ)わる」という意味(いみ)です。例えば、野球のドジャースには、元々(もともと)いい選手(せんしゅ)がたくさんいるのに、大谷翔平選手(おおたにしょうへいせんしゅ)まで加わったら、(おに)金棒(かなぼう)ですね、のように使います。

(おに)金棒(かなぼう)

次に「(おに)のいぬ()洗濯(せんたく)」は、上司(じょうし)(くち)うるさい人がいない間に、のんびりとくつろぐ、という意味(いみ)のことわざです。先の野球(やきゅう)の例を使うと、コーチがいない間にちょっと休憩(きゅうけい)しよう、(おに)のいぬ間に洗濯(せんたく)だ、と言うことができます。

(おに)のいぬ()洗濯(せんたく)

最後(さいご)に「(おに)の目にも(なみだ)」は、(おに)のように冷酷(れいこく)な人でも、時には(やさ)しい気持ちを持ったり、()いて(なみだ)(なが)したりすることがある、という意味(いみ)です。練習(れんしゅう)(きび)しいコーチが、チームが優勝(ゆうしょう)したときに()いて(よろこ)んでくれました。(おに)の目にも(なみだ)ですね、というように使います。

(おに)の目にも(なみだ)

このように(おに)は「(おそ)ろしいもの」「(こわ)いもの」と同時(どうじ)に「強い力を持つもの」「(まも)ってくれるもの」として人間の生活の中にも()()んできました。妖怪(ようかい)ですが、人間にとって大事(だいじ)存在(そんざい)でもあるのですね。

文:Naoko Ikegami

写真:写真AC/イラストAC

(2026.01.13)

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