《ひまわり》
Sunflowers by Vincent van Gogh
1888, National Gallery, London
ゴッホの有名な《ひまわり》です。オランダで生まれたフィンセント・ファン・ゴッホ(1853年〜1890年)は、イギリス、オランダ、ベルギーで働いたりしましたが、20代後半で画家になる決心をしました。最初はオランダやベルギーで風景や人物を描いていましたが、1886年にパリに移りました。
Self-Portrait by Vincent van Gogh
1887, The Art Institute of Chicago
パリでは、当時流行していたジャポニズムにも興味を持ち、ゴッホは多くの浮世絵を買い集めました。そして、それを真似して描いたり、自分が描いた絵に浮世絵を描き入れたりしていたようです。
ゴッホは1888年に南フランスのアルルに移りました。ゴッホにとってアルルでの生活は最も明るく幸せな時でした。ゴッホはアルルで多くの《ひまわり》を描きました。その中でも一番有名なのがロンドンのナショナルギャラリーにあるこの《ひまわり》です。花だけでなく、背景にもいろいろな黄色が使われています。ゴッホにとってひまわりは、明るい南フランスの象徴だったのでしょう。また、アルルにいる間に、ゴッホは《ひまわり》の他に《アルルの跳ね橋》や《夜のカフェテラス》、《ローヌ川の星月夜》などの作品も描いています。
Starry Night Over the Rhone, by Vincent Van Gogh
1888, Musée d’Orsay, Paris
ゴッホは37歳で亡くなるまでの10年間に、約2,000点もの作品を描きました。残念ながら、生前にはほとんど絵が売れなかったそうですが、大胆な色彩やタッチによって自分の内面や感情を表現した彼の作品は、後に高い評価を受けるようになりました。ゴッホは、ゴーギャン(Paul Gauguin, 1848年~1903年)やセザンヌ(Paul Cézanne,1839年~1906年)と並んで、ポスト印象派を代表する画家としてその地位を確立し、表現主義やフォービズムなどの20世紀の芸術に大きな影響を与えました。
文:Naoko Ikegami
画像:パブリックドメイン
(2024.8.27)