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美々(びび)貝塚(かいづか)

北海道の千歳市(ちとせし)に、美々(びび)という川があります。「()」という文字を二つ(つづ)けて書き、「びび」と読む川です。その名が(しめ)す通り、(うつく)しい川です。この川は(しん)千歳(ちとせ)空港(くうこう)の近くにある(おか)から(なが)れ始め、千歳(ちとせ)()()て、湿原(しつげん)蛇行(だこう)しながら苫小牧(とまこまい)()()かって(なが)れていきます。

美々(びび)貝塚(かいづか)の出土品

不思議(ふしぎ)美々(びび)貝塚(かいづか)

美々(びび)周辺(しゅうへん)にはいくつかの遺跡(いせき)があります。今から5500年ほど前の縄文時代(じょうもんじだい)前期(ぜんき)は、海面が現在(げんざい)より4~5メートル高かったといいます。つまり、現在(げんざい)陸地(りくち)にあたるところまで遠浅(とおあさ)の海((きし)から(とお)(はな)れたところまで水深(すいしん)(あさ)い海)が(つづ)いていました。その(ころ)は、海岸線(かいがんせん)沿()ってたくさんの人々が集まり生活(せいかつ)していました。気候(きこう)温暖(おんだん)()らしやすい場所(ばしょ)でした。人々は山で()りをして獲物(えもの)()ていました。海辺(うみべ)もいい漁場(ぎょじょう)でしたから、(ゆた)かな生活(せいかつ)を送ることができたのです。入り()シジミ採集(さいしゅう)して料理する人も多くいました。その結果(けっか)、食べた後の(かい)がらを()てた場所(ばしょ)が今も貝塚(かいづか)として(のこ)りました。美々(びび)貝塚(かいづか)もいくつかある貝塚(かいづか)の一つです。

実際(じっさい)美々(びび)貝塚(かいづか)出向(でむ)いてみて、私はたいそう(おどろ)きました。貝塚(かいづか)のかたまりが、そのまま保存(ほぞん)されており、圧倒的(あっとうてき)迫力(はくりょく)です。もっとも、展示施設(てんじしせつ)華美(かび)なものではありません。ごく普通(ふつう)プレハブ小屋のような建物です。ところが、いざドアをあけ、中に入ると、たくさんの(かい)()み重なった断面(だんめん)がそびえ立って、私たちを(むか)えてくれます。古代の人々が採集(さいしゅう)し、食べ、そして放棄(ほうき)した(かい)がらが、山のように()まれています。そこはただのゴミ()て場ではありません。(せい)なる空間のように(かん)じます。美々(びび)貝塚(かいづか)には人やイヌも(ほうむ)られていたといいますから、人々にとって、そこは大切な場所(ばしょ)であったに(ちが)いありません。

展示施設(てんじしせつ)

(ちが)側面(そくめん)から見た美々(びび)貝塚(かいづか)

美々(びび)貝塚(かいづか)迫力(はくりょく)は写真でもわかります。ただ、独特(どくとく)のにおいは実際(じっさい)に行ってみないと理解(りかい)できないでしょう。貝塚(かいづか)からは、ヤマトシジミという(かい)一番(いちばん)、多く出土しています。(ほか)にもアサリウバガイカキホタテガイアカニシなど15種類(しゅるい)もの(かい)が発見されています。縄文時代(じょうもんじだい)の人々が美味(おい)しそうに(かい)をすすって食べている様子(ようす)想像(そうぞう)すると、楽しい気持ちになります。漁具(ぎょぐ)狩猟(しゅりょう)道具(どうぐ)(かず)多く出土しています。(そこ)がとがった(かたち)をした土器(どき)などもあります。煮炊(にた)きに使われたものと考えられているそうです。
是非(ぜひ)実際(じっさい)に行って、貝塚(かいづか)をその目で見てみてください。不思議(ふしぎ)な力に圧倒(あっとう)されるでしょう。ただし、いつでも見学できるわけではありません。期間(きかん)は4月28日から11月30日まで、日曜日を(のぞ)き見ることができます。時間は9時から16時までです。一応(いちおう)、行く前に(たし)かめておくことをおすすめします。

入り口近くには白い花が


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環境(かんきょう)センターの計量所(けいりょうじょ)でカギをもらいます

展示施設(てんじしせつ)には(かぎ)がかかっていますので、駐車場(ちゅうしゃじょう)の右手にある環境(かんきょう)センターの計量所(けいりょうじょ)へ行き、(かぎ)を借りなければなりません。私も(かぎ)を借りにいきました。ひとつひとつの手順(てじゅん)()て、貝塚(かいづか)にたどり着くのは、ロールプレイングゲームのようで楽しい経験(けいけん)でした。美々(びび)貝塚(かいづか)に出会うための(かぎ)、あなたも開けてみませんか? きっと満足(まんぞく)することでしょう。

文:三浦暁子

写真:三浦暁子

2024.3.12

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