四万(しま)温泉(おんせん)
有名なアニメに出てくる温泉(おんせん)?ニッポンの(むかし)と今を時間旅行!!

最近(さいきん)は、日本のアニメを見たことがきっかけで、日本語の勉強をはじめる人がとても多いですね。もしかしたら今回(こんかい)行く温泉(おんせん)は、そんなみなさんが知っている場所(ばしょ)かもしれません。

上の写真を見てください。赤い(はし)と、三階(さんがい)()ての建物が、とてもきれいですね。どこかで、この風景(ふうけい)を見たことがありませんか? 有名な日本のアニメ映画『(せん)千尋(ちひろ)神隠(かみかく)し』に、これとよく()場面(ばめん)が出てきます。作品をつくった宮崎(みやざき)駿(はやお)監督(かんとく)も、ここへ来たことがあるそうです。

(せん)千尋(ちひろ)神隠(かみかく)し』に出てくる「油屋(ゆや)」と似ている?

積善館(せきぜんかん)

ここは「積善館(せきぜんかん)」という古い旅館で、今から600年近く前にできました。その後、何度か建物を()やしましたが、最初(さいしょ)からある木の建物は、日本で一番(いちばん)古い「()宿(やど)建築(けんちく)」です。「()宿(やど)」とは、温泉(おんせん)に入ったり、()まったりすることができる場所(ばしょ)です。このあたりには(むかし)から、温泉(おんせん)が出ていました。いったいどんな温泉(おんせん)なのでしょうか?

四万(しま)温泉(おんせん)」と書いてありますね。これが温泉(おんせん)の名前です。日本語で「四万」は「よんまん」ですが、ここでは土地の名前で「しま」と読みます。ただ、もともとの意味は「よんまん」に近いのです。(むかし)、ここに来た武士(ぶし)が夜、熱心(ねっしん)にお(いの)りをしていたら(ねむ)ってしまい、(ゆめ)の中に山の(かみ)さまが(あらわ)れたそうです。(かみ)さまは、四万(よんまん)の病気を(なお)すことができる温泉(おんせん)(あた)えると言いました。武士(ぶし)が目をさますと、本当(ほんとう)温泉(おんせん)が出ていたというお話です。

御夢想(ごむそう)()

日和見(ひなたみ)薬師堂(やくしどう)

この時に温泉(おんせん)が出たといわれる場所(ばしょ)には、今、(だれ)でも入ることができる「御夢想(ごむそう)()」というお風呂(ふろ)があります。「御夢想(ごむそう)」とは、(ゆめ)の中で(かみ)さまから何かのお知らせがあることです。すぐ近くには、「日和見(ひなたみ)薬師堂(やくしどう)」というお(てら)があります。屋根(やね)構造(こうぞう)がめずらしい建物で、国の大切な文化(ぶんか)(ざい)です。

(いん)泉所(せんじょ)

足湯(あしゆ)

四万(しま)温泉(おんせん)には、温泉(おんせん)が出る場所(ばしょ)源泉(げんせん))が42か(しょ)もあります。特に胃腸(いちょう)の病気によくきくといわれていますが、お()種類(しゅるい)効果(こうか)は少しずつちがいます。四万(しま)温泉(おんせん)の「四万」には、「たくさんの」という意味があるのでしょう。今から70年ほど前に日本の政府(せいふ)が、多くの病気を(なお)効果(こうか)のある温泉(おんせん)国民(こくみん)保養(ほよう)温泉地(おんせんち))を()めた時にも、四万(しま)温泉(おんせん)最初(さいしょ)(えら)ばれました。町には温泉(おんせん)の水を飲むことができる「(いん)泉所(せんじょ)」や、足だけ温泉(おんせん)に入ることができる足湯(あしゆ)もあります。

四万(しま)温泉(おんせん)町並(まちな)

四万(しま)温泉(おんせん)には最近(さいきん)、日本全国(ぜんこく)や海外から観光客(かんこうきゃく)がやってきます。温泉(おんせん)だけが理由(りゆう)ではありません。(うつく)しい自然(しぜん)と、なつかしい(むかし)風景(ふうけい)が、姿(すがた)()えずに(のこ)っていて、特別なふんいきがあるからです。上の写真を見てください。まるで「ドラえもん」に出てくるタイムマシンで、50年前に(もど)ったみたいでしょう。ここでクイズです。みなさんがいつも利用(りよう)しているもので、四万(しま)温泉(おんせん)には一つもないものが3つあります。それが何かわかりますか?

答えは、コンビニ、ファストフード、そして信号(しんごう)です。

四万(しま)たむら

たくさんの温泉(おんせん)

それでは、温泉(おんせん)に入ってみましょう。四万(しま)温泉(おんせん)の中で特に有名な2つの旅館のお()を体験します。まずは一番(いちばん)歴史(れきし)が長い「四万(しま)たむら」です。入口は普通(ふつう)の家のようですが、中に入るとその広さに(おどろ)きます。ここだけで源泉(げんせん)が6つもあり、1分間に1600リットルの温泉(おんせん)が出ているのです。

ヒノキ風呂(ぶろ)

大浴場(だいよくじょう)
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左の写真は木材(もくざい)のヒノキでつくられた「ヒノキ風呂(ぶろ)」で、(むかし)からあるお風呂(ふろ)に近いイメージです。(まど)には小さなすきまがあり、空気の()()え(換気(かんき))ができます。また右の写真は、最近(さいきん)よく見る「大浴場(だいよくじょう)」です。ここは空間がとても広く、お風呂(ふろ)温度(おんど)(あつ)いお()普通(ふつう)のお()に分かれています。この旅館には、庭園(ていえん)が見える露天(ろてん)風呂(ぶろ)温泉(おんせん)プールもあり、宿泊(しゅくはく)すると6か(しょ)のお()を楽しめます。

元禄(げんろく)()

(つぎ)は、最初(さいしょ)(しょう)(かい)した「積善館(せきぜんかん)」の中にあるお風呂(ふろ)、「元禄(げんろく)()」です。この建物は1930年につくられました。中の雰囲気(ふんいき)も、まるで百年前のようですね。『(せん)千尋(ちひろ)神隠(かみかく)し』に出てくる湯屋(ゆや)のイメージは、この建物に近いのかもしれません。(ゆか)はタイル、お風呂(ふろ)(いし)でできています。お()はとてもやわらかくて、体をやさしくつつんでくれます。

積善館(せきぜんかん)の内部

外国人への旅行免状(りょこうめんじょう)旅行許可証(りょこうきょかしょう)

積善館(せきぜんかん)には、(むかし)のいろいろな資料(しりょう)がたくさん(のこ)っています。中には、百年以上前に、イギリス人が日本の外務省(がいむしょう)から出してもらった旅行(りょこう)許可(きょか)(しょう)もあります。そのころは、外国人が日本国内(こくない)を旅行するのは今より何倍(なんばい)大変(たいへん)でした。交通(こうつう)不便(ふべん)で時間がかかるだけでなく、国内(こくない)移動(いどう)するのにも許可(きょか)必要(ひつよう)だったからです。

時代は()わり、今では日本のいろいろな場所(ばしょ)で外国人の観光客(かんこうきゃく)を見かけます。温泉地(おんせんち)では最近(さいきん)、外国人が()きなアニメや漫画(まんが)に出てくるキャラクターを見かけることが多くなりました。上の写真は数年前(すうねんまえ)四万(しま)温泉(おんせん)でホテルのPRをしていたハローキティと、(まち)のガイドに使われている「麻耶姫(まなひめ)」です。麻耶姫(まなひめ)は、すぐ近くにある観光地「麻耶(まや)(たき)」の(むかし)ばなしに出てくる女の子がモデルです。

そして四万(しま)温泉(おんせん)には最近(さいきん)(わか)観光客(かんこうきゃく)でいっぱいのカフェもあります。「柏屋(かしわや)カフェ」です。おいしいタイカレーや、温泉(おんせん)のマークがかわいい「温泉(おんせん)マークカプチーノ」がおすすめです。

500年以上の間、人びとを元気にしてきた四万(しま)温泉(おんせん)では、(むかし)から()わらないニッポンの風景(ふうけい)と、若者(わかもの)に人気のおしゃれな「クールジャパン」が、どちらも(かがや)いて見えました。タイムマシンがなくても、ちがう時代を行ったり来たり「時間旅行」できる四万(しま)温泉(おんせん)に、みなさんも行ってみませんか?

文:白石誠

写真:白石誠/積善館

イラスト:スタジオジブリ作品の場面写真

(2023.11.10)

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