【四万温泉】【尻焼温泉】
「川の温泉」で、本物の大自然を体験!
日本には3万か所以上の川があります。川は私たちの生活と深いかかわりがあり、例えば関東の広い地域を流れる利根川の水は、水道の水として使われています。そして私たちの大好きな温泉も、川とはいろいろな面でつながっているのです。地方の温泉地に行くと、川の近くで温泉が出ていたり、露天風呂から川の風景が見えたりすることがあるでしょう。温泉はもともと、地下であたためられた雨や雪が、地震などによって、地上に出てきたものです。川の水はまわりの土地や岩をけずり、温泉の通り道をつくっているのです。今回は川と関係が深い2つの温泉地で、本物の大自然を体験してみましょう。
水面が青色に光る四万川
コバルトブルーに輝く奥四万湖
近くの観光地「しゃくなげの滝」
さて、四万温泉の中心部には四万川がほかの川と合流する場所があり、すぐそばに「河原の湯」という、誰でも入ることができる小さな温泉があります。中に入ると、お風呂も壁も石でできていて、まるで洞窟のようです。ここは建物の中にあるので、お風呂から川は見えませんが、外に出ると目の前を流れる川の音がはっきり聞こえます。まわりは涼しい風が吹いていて、夏でも気持ちがよいです。冬になると雪が降るので、少し寒いかもしれません。
川のそばにある河原の湯
ここからは、川をすぐ近くに感じることができるお風呂を、順番に回っていきましょう。
「四万たむら」の露天風呂
四万川の上流
上流にある小さな温泉旅館
次は、四万川の上流に近い場所へ行ってみましょう。このあたりには小さな温泉旅館が多いですが、川との距離がとても近くて、すばらしい景色を楽しむことができます。特におすすめなのが、川のすぐ横につくられている露天風呂です。
露天風呂と、すぐ下を流れる四万川
露天風呂から見える橋や細い道路
こちらは「もりまた旅館」にある、「貸し切り露天風呂」です。「貸し切り」とは、決められた時間に、一人または友人どうしや家族だけで、使うことができるお風呂です。露天風呂の前では、川が大きな音を立てて流れ、近くには道路や橋も見えます。お湯は、温泉が最初に出ている場所(源泉)から直接流れる「かけ流し」です。やわらかいお湯と、川からの風が体をつつみ、大自然にかこまれながら温泉に入っている気分が味わえます。
川までわずか1メートルの露天風呂
さらに、川までの距離がもっと近いお風呂にも行ってみましょう。「つばたや旅館」にある「手作り露天風呂」を見てください。お風呂からすぐ手が届く場所に四万川があり、その距離はわずか1メートルです。ただあまりにも川に近いため、この露天風呂はほかの場所から見えてしまいます。ここのお湯に入る時は、水着かタオルを身につけましょう。
尻焼温泉の入口と案内版
尻焼温泉「川の湯」
川がそのままお風呂になった野天風呂
おどろくことに、ここでは川がそのままお風呂になっていて、誰でも無料で入ることができます。まわりに屋根も壁もない「野天風呂」です。休みの日には家族や若者たちがやってきて、川あそびと温泉を、同時に楽しんでいます。まるでプールのようですね。ただプールとはちがって温度が高く、場所によっては深さがあるので、気をつけましょう。「川の湯」には、水着を着て入ることができます。川の前にある小屋には、普通の小さなお風呂もあります。
大自然を実感できる“川の温泉”
「川の温泉」をめぐる旅、いかがでしたか?もともと、温泉は温度が高くて冷えた体をあたためてくれるものですが、逆に川は近くにあるだけでどこか涼しくて、ほっとするものですね。季節に関係なく、「暖(あたたかい)」と「涼(涼しい)」を大自然の中から同時に感じることができるのが、「川の温泉」のすばらしさといえるでしょう。
文:白石誠
写真:白石誠
(2023.12.15)
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