一方、下町は平らです。隅田川のような大きな川が流れていたり、海の近くだったりします。なぜ下町は平らなのでしょうか。実は、下町の多くの土地は、7,000年前は海だったのです。海だったところが、今、なぜ陸地になっているのでしょうか。7,000年前の日本は縄文時代でした。当時、なぜ、海だったのか? それを調べるキーワードがあります。「縄文海進」という言葉です。少し寄り道をして、その謎を調べてみましょう。
約7,000年前、日本の海面は今よりも2~3m高く、日本各地で海水が陸地まで入り込んでいました。これを縄文海進と言います。その後、海面は現在の高さまで低くなり、 東京の下町などでは、川から運ばれた土砂などがたまって平らな土地が形作られました。
では、なぜ縄文海進は起こったのでしょうか? 今から10,000年以上前、ヨーロッパや北アメリカ北部は、今の南極のように氷床と言われる分厚い氷で覆われていました。ところが、その後、地球はだんだん暖かくなりました。そして、今から7,000年前くらいには、巨大な氷のかたまりはほぼ完全に溶けてしまいました。そのために海水の体積が増え、縄文海進と呼ばれる海面の上昇が起こりました。
また、7,000年前にどこでも海水面が上昇したかというと実はそうでもないのです。巨大な氷が解けたイギリスや北アメリカの海岸では、氷の重さがなくなり その重さで押し下げられていた陸地が盛り上がりました。船が荷物を降ろして浮き上がるような感じでしょうか。その速度が、海水面の上昇よりも速かったので、海面の上昇は起こりませんでした。海水面の上昇は、氷床が解けたところから離れたところでよく起こったようです。
いやー、地球の内部は複雑です。そのころ、世界中でいろいろな気候変動があったはずです。今、地球温暖化と言われていますが、7,000年前にも地球は温暖化して、さまざまなことが起こったようです。もしかしたら、これから地球に起こることの参考になるかもしれませんね。