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台風が来る前に

現在(げんざい)、台風は(みなみ)シナ(かい)を1時間におよそ10キロの(はや)さで北東(ほくとう)(すす)んでいます。」

こんなニュースを聞いたことがあるでしょうか。

日本では、夏から秋が台風の季節(きせつ)です。

台風は、日本より南のあたたかい地域(ちいき)で生まれ、強く大きく発達(はったつ)しながら日本にやってきます。

台風の中心(ちゅうしん)海岸(かいがん)(たっ)することを上陸(じょうりく)と言います。ただし、沖縄(おきなわ)場合(ばあい)上陸(じょうりく)ではなく通過(つうか)と言います。

南からやってくることが多い台風は、沖縄(おきなわ)通過(つうか)し、九州(きゅうしゅう)四国(しこく)本州(ほんしゅう)上陸(じょうりく)することが多いです。

上陸(じょうりく)する前に海の上で力が(よわ)くなることもあれば、力が強くなることもあります。海の温度(おんど)が高いところを通ると、力が強くなると言われています。

風の強い台風、雨を多く()らせる台風、風も雨も強い台風など、いろいろなタイプの台風があります。そして、その強さや大きさも台風によって(ちが)います。場合(ばあい)によっては、各地(かくち)で大きな被害(ひがい)となることもあります。

2018年9月には台風21(ごう)によって、近畿地方(きんきちほう)では1(びょう)(かん)に50m以上の非常(ひじょう)に強い風がふきました。強い風でたくさんの家の屋根(やね)()び、(まど)ガラスが()れ、広い地域(ちいき)停電(ていでん)()こりました。また、関西国際空港(かんさいこくさいくうこう)滑走路(かっそうろ)にまで水が(はい)()み、空港(くうこう)一時(いちじ)()じられました。

その原因(げんいん)は「高潮(たかしお)」です。

地震(じしん)によって()こる大きな(なみ)津波(つなみ)と言いますが、台風によって()こる大きな(なみ)高潮(たかしお)と言います。高潮(たかしお)は、気圧(きあつ)低下(ていか)や強い風によって()こりますが、海の水面(すいめん)が高いときに(かさ)なってさらに大きな(なみ)になることもあります。台風のニュースを聞いたときには、この高潮(たかしお)に気をつけるとともに、強い風、大雨(おおあめ)停電(ていでん)断水(だんすい)(そな)えなければなりません。大切な(いのち)(まも)るために、今から準備(じゅんび)をしておくと安心です。

台風のくわしい情報(じょうほう)は、天気予報(てんきよほう)を見るとわかります。

今、台風がどこにあるのか、それから、これからどのようなルートを(すす)んでいくのかを知ることができます。台風の強さや動くスピード、そして私たちは何に気をつける必要(ひつよう)があるのかを教えてくれます。

台風が近くなると、風が強くなるため、物が()んできたり、看板(かんばん)()ちてきたりして、家の外はとても危険(きけん)です。ベランダの()びやすいものは家の中に入れ、(まど)雨戸(あまど)やシャッターがあったら()めておきましょう。

しかし、とても強い台風の場合(ばあい)、家にいるのも(あぶ)ないときがあります。家よりももっと安全(あんぜん)なところに行くことを「避難(ひなん)」と言います。

現在(げんざい)気象庁(きしょうちょう)から出される警戒情報(けいかいじょうほう)には、5つのレベルがありますが、警戒(けいかい)レベル4の「避難指示(ひなんしじ)」が出たらすぐに避難(ひなん)しなければなりません。では、そのときどこに避難(ひなん)したらいいか知っていますか。

日本の多くの市町村(しちょうそん)で、ハザードマップという地図が作られています。見たことがありますか。紙に印刷(いんさつ)されたハザードマップもありますし、Webサイトもあります。

ハザードマップには、たくさんの大事な情報(じょうほう)がのっています。

まず、高潮(たかしお)についての情報(じょうほう)です。高潮(たかしお)被害(ひがい)が出る可能性(かのうせい)のある場所(ばしょ)がわかる地図がのっています。

それから、大雨(おおあめ)のときに気をつける地域(ちいき)です。たくさん雨が()って、川があふれてしまったときに、どの地域(ちいき)(あぶ)ないか、地図を見るとすぐにわかります。

そして、避難場所(ひなんばしょ)です。「避難指示(ひなんしじ)」が出たときに、どこに避難(ひなん)すればいいかがわかります。

さらに、避難(ひなん)するときに持っていくものものっています。水や食べ物、お金や(くすり)などです。

今のうちに準備(じゅんび)して、ひとつのかばんにまとめておくと、もし本当(ほんとう)に台風が来たとき(やく)に立つでしょう。

日本に台風が上陸(じょうりく)しない年はありません。それくらい台風は私たちの()の近くにあって、だれもが危険(きけん)な目にあう可能性(かのうせい)のあるものです。

台風は(すす)むルートがだいたいわかるので、雨や風がはげしくなる前に、避難(ひなん)することが大切です。今すぐにハザードマップを確認(かくにん)し、台風に(そな)えましょう。

文:新谷知佳

イラスト:イラストAC

(2022.8.16)

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