日本語多読道場 yomujp
「辞典じてん」と「辞書じしょ」の違ちがいは何?
「節用集せつようしゅう」
『日本小辞典にほんしょうじてん』
『日本小辞典にほんしょうじてん』からあとは、「辞典じてん」も使われるようになりました。「国語辞典こくごじてん」「漢和辞典かんわじてん」などのように使われています。「辞書じしょ」は、名前で使われることはほとんどありませんでした。「辞典じてん」と「辞書じしょ」のいちばん大きな違ちがいは、このように名前で使われるかどうかということなのです。
ところで、昔むかしの辞典じてんは「節用集せつようしゅう」と呼よばれていたと書きました。いい機会きかいですから、少し日本の辞典じてんの歴史れきしについてお話ししましょう。
日本でいちばん古い辞典じてんは、850年(平安時代へいあんじだいのはじめ)に空海くうかい(弘法大師こうぼうだいし)というお坊ぼうさんが書いた『篆隷万象名義てんれいばんしょうめいぎ』だと言われています。空海くうかいは中国ちゅうごくの唐とうに渡わたって仏教ぶっきょうを学んだ、とても有名なお坊ぼうさんです。『篆隷万象名義てんれいばんしょうめいぎ』は中国ちゅうごくの辞典じてんをもとにした漢字の辞典じてんです。
『篆隷万象名義てんれいばんしょうめいぎ』
『新撰字鏡しんせんじきょう』
『色葉字類抄いろはじるいしょう』
今と同じような形かたちの辞典じてんが生まれたのは、明治時代めいじじだいになってからです。国語学者の大槻文彦おおつきふみひこが編集へんしゅうした『言海げんかい』(1889~91年)が最初さいしょです。この『言海げんかい』のあと、日本ではたくさんの国語辞典こくごじてんが編集へんしゅうされるようになりました。
『言海げんかい』
文:神永曉
写真:国立国会図書館
(2022.5.27)