これは、すし屋の湯飲みです。
漢字とひらがながたくさん書いてあります。よく見ると、漢字の左側の部分は全部「魚」!
そうです。魚の漢字が書いてあるんです。魚の漢字はとてもおもしろいので、これから紹介します。
イワシ
この魚の名前はイワシです。日本の海でよくとれるので、昔から食べられています。
イワシはあまり大きい魚ではありません。そのため、大きい魚や鳥などに食べられないように集まって、群れを作って泳ぎます。
イワシの群れ
また、イワシは水から出すとすぐに死んでしまいます。
とても弱い魚なので、漢字は「魚」と「弱」で「鰯」になりました。
魚 + 弱 = 鰯(イワシ)
カレイ
これはカレイという魚です。カレイは体が薄くて、目がこちらから見て体の右側にあります。
あまり泳がず、いつも海の下の方にいて、体の色を変えることもできます。
変な顔、変な形ですが、とてもおいしい魚です。
カレイの漢字は「鰈」です。体が薄くて、形が「葉っぱ」に似ていることから、この漢字になったそうです。
魚 + 枼(葉) = 鰈(カレイ)
タラ
タラは、冷たい海の深いところにすんでいます。口が大きく、その下には長いひげが1本ある魚です。
いろいろなものを食べるので、1メートル(m)以上になることもあります。
タラは漢字で「鱈」と書きます。海に雪は降らないのに、どうしてでしょうか?
タラの身
それは、タラの身が雪のように白いからです。
また寒い場所で、雪が降る時期によくとれるから、とも言われています。
魚 + 雪 = 鱈(タラ)
カツオ
カツオは海の中を、すごい速さで泳ぎ回れる魚です。
今は刺身だけでなく、いろいろな方法で食べられています。
でも昔は、交通も不便で冷蔵庫もありませんでした。だから、干したりカツオ節にしたりして、食べることが多かったそうです。
カツオ節
カツオは干したりカツオ節にしたりすると、とても堅くなります。
カツオ節は堅すぎて、薄く削らないと、食べることができません。世界一堅い食べ物とも言われています。
堅くなる魚なので、カツオの漢字は「鰹」です。
魚 + 堅 = 鰹(カツオ)
タイ
タイは体の外側が赤で、身が白い魚です。
昔から、日本で赤と白は、とてもいい組み合わせの色だと考えられています。
また「おめでたい」という言葉の中にも「タイ」があります。だから、結婚式やお正月など、お祝いのときによく食べられる魚です。
漢字では「鯛」と書きます。「周」には「いつでも」「どこでも」という意味があります。
日本の「周り」の海にすんでいて、一年中とれる魚なので、この漢字になったようです。
魚 + 周 = 鯛(タイ)
どうですか? 魚の漢字はおもしろいでしょう?
左上:クラゲ 右上:エビ 左下:ヒトデ 右下:イルカ
では、最後に問題です。
魚ではありませんが、海にすむクラゲ、エビ、ヒトデ、イルカの漢字は、下のどれでしょうか?
A 海豚(=海+豚) B 海月(=海+月) C 海老(=海+「老人」の老) D 海星(=海+星)
ああ、魚の漢字を紹介したら、お腹がすきました。
今からすし屋に行ってきます!
【問題の答え:クラゲ = B海月、エビ = C海老、ヒトデ = D海星、イルカ = A海豚】
参考:
木村義志監修『なるほど! 魚の漢字』学研プラス
小川環樹ら編『角川新字源 改訂新版 特装版』KADOKAWA
https://www.kanken.or.jp/kanken/trivia/category01/170201.html
https://xn--u8jta8d.jp/
文:瀬戸稔彦
写真:フォトAC
(2021.11.30)