《民衆を導く自由の女神》
La Liberté guidant le peuple by Ferdinand Victor Eugène Delacroix
1830, Musée du Louvre, Paris
1830年に起きたフランス7月革命をモチーフ(motif)にした《民衆を導く自由の女神》は、フェルディナン・ヴィクトール・ウジェーヌ・ドラクロワ(1798年〜1863年)によって描かれました。この絵は彼の肖像とともに1978年から1995年までフランスの100フラン紙幣にも描かれていました。
Portrait de l’artiste by Ferdinand Victor Eugène Delacroix
1825/1850(2e quart du XIXe siècle), Musée du Louvre, Paris
ドラクロワはフランス人で、19世紀フランスのロマン主義を代表する画家です。ドラマチックな画面の構成と多くの色彩を使った彼の表現法は、後のルノワール(1841年〜1919年・フランス)やゴッホ(1853年〜1890年・オランダ)をはじめ、印象派の画家たちに大きな影響を与えました。
《民衆を導く自由の女神》は情熱的な筆使いで観る者を圧倒する作品で、ドラクロワの代表作になりました。赤、白、青のフランス国旗を右手に持ち、人々を導く勇敢な女性は「マリアンヌ」と呼ばれ、「自由の女神」を表していますが、実在の人物ではありません。
彼女の力強い姿勢は、手前にいる戦死した人々とは対照的です。また、彼女に続く人々は、服装からわかるようにブルジョワジー(bourgeoisie)や都市労働者などさまざまな社会階級の人々で構成されています。みんなの表情は厳しく、決意を持って進んでいく様子がわかります。
1830年の革命後、この絵は、革命を記念するためにフランス政府によって買い取られました。しかし、あまりに政治的で暴動的だという理由から、ドラクロワの元に返されてしまいます。しかし、フランス共和国が復活した後、1874年にルーブル美術館に収蔵されました。
参考
文:Naoko Ikegami
画像:パブリックドメイン
(2023.10.31)