なかよし
カエルくんとウサギくんは、なかよしです。
いつもいっしょにいます。
すもうをしたり、バスケットボールをしたりします。
でも、なにをやっても、カエルくんはウサギくんに勝てません。
「どうしたらウサギくんに勝てるかなぁ」
カエルくんは考えました。
「そうだ!」
「ねえ、ウサギくん。あそこの山の上までどっちが速く行けるか競争しない?」
「いいよ。でも、きっとぼくが勝つと思うよ。ぼくのほうが足が速いし」
「ふふふ、今日は負けないよ」
よーい、スタート!
「やっぱりウサギくんは速いなぁ」
「やっぱり今日もぼくの勝ちだ」
ところが……。
「う、海!? カエルくん、ぼくが泳げないのを知ってて、だましたな!」
「もう帰る! ……でも、このまま負けるのは、いやだなぁ」
ウサギくんは考えました。
「あ、そうだ!」
「ねえ、サメさん。サメさんたちはこの海に何匹いるの?」
「え!? たくさんいるけど、数えたことないよ」
「そうなんだ。じゃあ、ぼくが数えてあげる」
「え、本当? ありがとう」
「それじゃ、ここからあの島までまっすぐに並んで!」
「わかった」
ウサギくんは、並んだサメたちの上をぴょんぴょんとんでいきます。
「一匹、二匹、三匹、……」
「七匹、八匹、九匹、……。ふふふ、みんなだまされているのも知らないで……」
「何!? だましていたのか!」
「あ、聞こえてた。あっ! ああーーーー」
ウサギくんは、海に落ちてしまいました。
「わあー、助けて!食べられる!!」
「ウサギくん。今、行くよ!」
「助かった。ありがとう、カエルくん」
「……」
「ウサギくん。だまして、ごめんね」
「ううん。ぼくもサメさんたちをだまして、よくなかったし……」
「……ねえ、おなかすかない?」
「すいた」
「なにか食べて帰ろう」
「うん」
おわり
文:遠藤和彦
イラスト:ダ鳥獣ギ画
(2023.2.21)