日本語多読道場 yomujp
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東京(とうきょう)の桜(さくら)
東京
(
とうきょう
)
の
桜
(
さくら
)
チューリップ、
水仙
(
すいせん
)
、ひまわり、ブーゲンビリア、
曼珠沙華
(
まんじゅしゃげ
)
、みなさん、どんな花が
好
(
す
)
きですか?
好
(
す
)
きな花が
咲
(
さ
)
くころ、家族や友だちとそんな花を見に出かけることはありますか?
日本には、「お
花見
(
はなみ
)
」という
言葉
(
ことば
)
があります。チューリップが
大好
(
だいす
)
きな人が、春にチューリップを見に出かけたとします。しかし、そんなとき、「お
花見
(
はなみ
)
」という
言葉
(
ことば
)
を使って、「チューリップがきれいだからお
花見
(
はなみ
)
に行きました」とは言いません。
お
花見
(
はなみ
)
という
言葉
(
ことば
)
は
桜
(
さくら
)
を見るときにだけ使います。チューリップもひまわりもハイビスカスもきれいです。人それぞれ
好
(
す
)
きな花は
違
(
ちが
)
うので、
桜
(
さくら
)
よりもハイビスカスが
好
(
す
)
きな人もいるでしょう。それなのに、「お
花見
(
はなみ
)
」という
言葉
(
ことば
)
を
桜
(
さくら
)
だけに使うのはおかしいじゃないか、と思っている人はいませんか? でも、これには
理由
(
りゆう
)
があります。
桜
(
さくら
)
はそれだけ日本の人たちに
親
(
した
)
しまれている花で、ほかの花とは
比
(
くら
)
べられないほど
特別
(
とくべつ
)
なものなのです。
お
花見
(
はなみ
)
という
言葉
(
ことば
)
は、ただ
単
(
たん
)
に
桜
(
さくら
)
を見に行くというだけでなく、
桜
(
さくら
)
の下で、お
弁当
(
べんとう
)
を食べたり、飲み物を飲んだりすることを
含
(
ふく
)
む
場合
(
ばあい
)
があります。というよりも、むしろ、だれかが「お
花見
(
はなみ
)
に行きました」と言ったら、
桜
(
さくら
)
の下で
飲食
(
いんしょく
)
をしたんだと考えるのが
普通
(
ふつう
)
です。2020年、2021年の
桜
(
さくら
)
のシーズンは、
残念
(
ざんねん
)
ながら
新型
(
しんがた
)
コロナウイルス(COVID-19)のために、
桜
(
さくら
)
の木の下での食事ができませんでした。またお
弁当
(
べんとう
)
を食べながら、お
花見
(
はなみ
)
ができる日が早く来てほしいです。
東京
(
とうきょう
)
の
桜
(
さくら
)
の
名所
(
めいしょ
)
は、
千鳥ヶ淵
(
ちどりがふち
)
や
目黒川
(
めぐろがわ
)
などが有名です。そのような
名所
(
めいしょ
)
ではたくさんの
桜
(
さくら
)
の木が
植
(
う
)
えられていて、
桜
(
さくら
)
が
咲
(
さ
)
いているときには、
毎年
(
まいとし
)
、たくさんの人が集まります。それ
以外
(
いがい
)
にもかくれた
名所
(
めいしょ
)
がたくさんあります。
また、
東京
(
とうきょう
)
には、
数本
(
すうほん
)
とか少ない
数
(
かず
)
であっても、
至
(
いた
)
るところに
桜
(
さくら
)
の木が
植
(
う
)
えられています。学校の
校庭
(
こうてい
)
であったり、小さな
公園
(
こうえん
)
であったり、
渋谷
(
しぶや
)
の
駅前
(
えきまえ
)
にも
桜
(
さくら
)
があります。
桜
(
さくら
)
の木だらけと言っても
良
(
よ
)
いほどです。「
近所
(
きんじょ
)
で自分だけのお
気
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
桜
(
さくら
)
を見たい」と思っている人がどれだけ多いかがわかります。
Image #1
Image #2
もう一つ
桜
(
さくら
)
について
面白
(
おもしろ
)
いことがあります。
毎年
(
まいとし
)
、
桜
(
さくら
)
が
開花
(
かいか
)
したかどうかを
気象庁
(
きしょうちょう
)
が
宣言
(
せんげん
)
するのです。日本
各地
(
かくち
)
で
開花
(
かいか
)
を
判断
(
はんだん
)
する
標本木
(
ひょうほんぼく
)
と
呼
(
よ
)
ばれる木があります。
東京
(
とうきょう
)
では、
靖国神社
(
やすくにじんじゃ
)
という
神社
(
じんじゃ
)
にある
標本木
(
ひょうほんぼく
)
に花が5
輪
(
りん
)
以上
(
いじょう
)
咲
(
さ
)
いたときに、
気象庁
(
きしょうちょう
)
は
桜
(
さくら
)
の
開花
(
かいか
)
を
発表
(
はっぴょう
)
します。「何でわざわざ
宣言
(
せんげん
)
までするの? そんなの
桜
(
さくら
)
の
勝手
(
かって
)
でしょ」と思いませんか? でも、
桜
(
さくら
)
の
開花宣言
(
かいかせんげん
)
は、
毎年
(
まいとし
)
ニュースで大きく
取
(
と
)
り
上
(
あ
)
げられるくらい日本の人たちにとって
関心
(
かんしん
)
が高いのです。
Image #1
Image #2
MAP
桜
(
さくら
)
は春の
象徴
(
しょうちょう
)
です。これから夏が始まるという
季節
(
きせつ
)
を
感
(
かん
)
じさせてくれる花でもあります。
桜
(
さくら
)
が
咲
(
さ
)
くころ、
桜
(
さくら
)
の花の
蜜
(
みつ
)
を
求
(
もと
)
めて、メジロというかわいい鳥も
東京
(
とうきょう
)
の
街
(
まち
)
にやってきます。鳥たちも元気に
活動
(
かつどう
)
する
季節
(
きせつ
)
になります。
Image #1
Image #2
MAP
桜
(
さくら
)
の花が
散
(
ち
)
ると、
枝
(
えだ
)
からは
葉
(
は
)
が出ます。花が
散
(
ち
)
るのは
悲
(
かな
)
しいですが、
散
(
ち
)
ったあとも、新しい
葉
(
は
)
っぱが
出
(
で
)
始
(
はじ
)
めた
桜
(
さくら
)
を楽しみます。これを
葉桜
(
はざくら
)
と言います。「どこまで
桜
(
さくら
)
を楽しみつくすのだ」と思いませんか? ある
意味
(
いみ
)
すごいですよね。
葉桜
(
はざくら
)
を
含
(
ふく
)
め、新しい色の
薄
(
うす
)
い
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
がしげっている
様子
(
ようす
)
を
表
(
あらわ
)
す「
新緑
(
しんりょく
)
」という
言葉
(
ことば
)
があります。夏になると
木々
(
きぎ
)
の色は
濃
(
こ
)
い
緑色
(
みどりいろ
)
になりますが、
新緑
(
しんりょく
)
はその前の
状態
(
じょうたい
)
です。その
新緑
(
しんりょく
)
の
葉
(
は
)
のことを
青葉
(
あおば
)
とか
若葉
(
わかば
)
とも言います。
桜
(
さくら
)
が
散
(
ち
)
った
後
(
あと
)
から5月ごろまでが
新緑
(
しんりょく
)
の
時期
(
じき
)
です。
暑
(
あつ
)
くもなく、
寒
(
さむ
)
くもなく、また、6月ごろから始まる
梅雨
(
つゆ/ばいう
)
と
呼
(
よ
)
ばれる雨の
季節
(
きせつ
)
の前でもあります。
初夏
(
しょか
)
とも
呼
(
よ
)
ばれるこの
季節
(
きせつ
)
は、とても
過
(
す
)
ごしやすく、気持ちが
良
(
よ
)
いですよ。
桜
(
さくら
)
の花は終わっていますが、
観光
(
かんこう
)
に来るにはおすすめの
時期
(
じき
)
です。
さて、
桜
(
さくら
)
で一つだけ
困
(
こま
)
ったことがあります。
桜
(
さくら
)
の花はたくさん
咲
(
さ
)
くのがきれいなのですが、その
分
(
ぶん
)
、
散
(
ち
)
ったときの花びらも多いのです。
散
(
ち
)
るとき、
淡
(
あわ
)
いピンクの花びらを
雪
(
ゆき
)
に
見立
(
みた
)
てて、
花吹雪
(
はなふぶき
)
などと言います。なかなか
風流
(
ふうりゅう
)
な
表現
(
ひょうげん
)
でしょ。それはそれできれいなのですが、
地面
(
じめん
)
に
落
(
お
)
ちた花びらはただのゴミになります。それを
片
(
かた
)
づけるのが
一苦労
(
ひとくろう
)
。でも、これだけ
桜
(
さくら
)
を楽しみつくすのですから、そのくらいは
仕方
(
しかた
)
ないかなと私は思っています。
文 ・ 写真:岡野秀夫
(2021.3.30)
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