2月になると、日本ではウメの花が咲いたとニュースになります。3月、4月のサクラと同じように、春を感じさせるものだからです。ただ、サクラにくらべるとニュースのあつかいは小さいようです。ウメが咲いても、サクラが咲いたときのように、花を見ながら食事をしたりお酒を飲んだりしないからかもしれません。
ウメの花
うすい紅色のウメの花
梅林
ウメの木によっては、6月ごろになると、直径3センチメートルくらいの丸い実がなります。この実は食べられますが、木になったばかりの実は青酸という毒をふくんでいますので食べられません。日本ではこの実を「梅干し」「梅酒」などにします。
ウメの実
「梅干し」はウメの実を塩の中に入れたあと取り出して日に当ててかわかし、さらにシソという葉などをくわえてつけものにしたものです。おにぎりの中に入っている、あのすっぱいやつです。すっぱくて食べられないという人も多いかもしれませんね。
ウメの実を塩の中に入れる
日に当ててかわかす
シソの葉をくわえてつける
完成した梅干し
「梅酒」は、ウメの実をさとうをくわえた焼酎という酒につけたもので、とてもいい香りがします。あまくてもお酒ですからたくさん飲むと酔っぱらいます。
梅酒
日本人はむかしからウメの花を深く愛してきたので、文学や絵画にも多く取り上げられてきました。特に日本の代表的な詩の和歌では、ウメを歌ったものがたくさんあります。ウメの花だけを歌った和歌も数多くありますが、鳥のウグイスと組み合わせた和歌もたくさんあります。
また、絵にもウメの枝にウグイスがとまっているところをかいたものがたくさんあります。ウグイスはウメの花が咲くころ、山から人が住むところまで下りてきてホーホケキョと鳴くので、一緒のものとして考えられたのでしょう。
ウメとウグイス
日本にはお寺のほかに神社が各地にあります。神社は日本で生まれた「神道」という宗教の施設で、そこには多くの神様がいるとされています。神社にいる神様のなかには、人間が死んで神様になったものもあります。
有名なのは、天神、天満宮とよばれる神社で、そこの神様は菅原道真です。菅原道真は平安時代(8世紀から12世紀の末)の役人で学者としても有名でした。でも、道真は地位を落とされて、当時の都である京都から離れた「大宰府」という所に行かされてしまいます。道真は京都の家を出るときに、いつも愛していたウメの木に対して、自分がいなくなっても春を忘れずにちゃんと花を咲かせなさい、という和歌を作ります。すると、そのウメの木がのちに大宰府まで飛んで行ったというのです。そのことから、道真を神様としている神社ではウメの花の紋章を使っています。
ウメの花の紋
文:神永曉
写真:写真AC
イラスト:イラストAC
(2024.2.20)
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