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日本人の好きなウメの花

2月になると、日本ではウメの花が()いたとニュースになります。3月、4月のサクラと(おな)じように、春を(かん)じさせるものだからです。ただ、サクラにくらべるとニュースのあつかいは小さいようです。ウメが()いても、サクラが()いたときのように、花を見ながら食事(しょくじ)をしたりお(さけ)()んだりしないからかもしれません。

ウメの花

でも、日本の各地(かくち)にウメの花の有名な場所(ばしょ)があり、多くの人が花が()くと見に行きます。たくさんのウメの木が()えられている(ところ)を「梅林(ばいりん)」「梅園(ばいえん)」と言います。「(ばい)」はウメのことです。日本で有名な梅林(ばいりん)梅園(ばいえん)は、茨城(いばらき)(けん)水戸(みと)()偕楽園(かいらくえん)梅林(ばいりん)横浜(よこはま)()大倉山(おおくらやま)梅林(ばいりん)静岡(しずおか)(けん)熱海(あたみ)()熱海(あたみ)梅園(ばいえん)奈良(なら)(けん)月ヶ瀬(つきがせ)梅林(ばいりん)和歌山(わかやま)(けん)みなべ(ちょう)南部(みなべ)梅林(ばいりん)などがあります。 ウメの花は()が出る前に()き、白かうすい紅色(べにいろ)をしています。ウメにはいろいろな種類(しゅるい)があり、梅林(ばいりん)に行くとさまざまな種類(しゅるい)のウメを見ることができます。

うすい紅色(べにいろ)のウメの花

梅林(ばいりん)

ウメの木によっては、6月ごろになると、直径(ちょっけい)3センチメートルくらいの(まる)()がなります。この()は食べられますが、木になったばかりの()青酸(せいさん)という(どく)をふくんでいますので食べられません。日本ではこの()を「梅干(うめぼ)し」「梅酒(うめしゅ)」などにします。

ウメの()

(うめ)()し」はウメの()(しお)の中に入れたあと()り出して日に()ててかわかし、さらにシソという()などをくわえてつけものにしたものです。おにぎりの中に入っている、あのすっぱいやつです。すっぱくて食べられないという人も多いかもしれませんね。

ウメの()(しお)の中に入れる

日に()ててかわかす

シソの()をくわえてつける

完成した(うめ)()

梅酒(うめしゅ)」は、ウメの()をさとうをくわえた焼酎(しょうちゅう)という(さけ)につけたもので、とてもいい(かお)りがします。あまくてもお(さけ)ですからたくさん()むと()っぱらいます。

梅酒(うめしゅ)

日本人はむかしからウメの花を(ふか)(あい)してきたので、文学や絵画(かいが)にも多く()り上げられてきました。(とく)に日本の代表的(だいひょうてき)()和歌(わか)では、ウメを(うた)ったものがたくさんあります。ウメの花だけを(うた)った和歌(わか)(かず)多くありますが、(とり)ウグイス()()わせた和歌(わか)もたくさんあります。

また、()にもウメの(えだ)にウグイスがとまっているところをかいたものがたくさんあります。ウグイスはウメの花が()くころ、山から人が()むところまで下りてきてホーホケキョと()くので、一緒(いっしょ)のものとして考えられたのでしょう。

ウメとウグイス

日本にはお(てら)のほかに神社(じんじゃ)各地(かくち)にあります。神社(じんじゃ)は日本で生まれた「神道(しんとう)」という宗教(しゅうきょう)施設(しせつ)で、そこには多くの神様(かみさま)がいるとされています。神社(じんじゃ)にいる神様(かみさま)のなかには、人間が()んで神様(かみさま)になったものもあります。

有名なのは、天神(てんじん)天満宮(てんまんぐう)とよばれる神社(じんじゃ)で、そこの神様(かみさま)菅原道真(すがわらのみちざね)です。菅原道真(すがわらのみちざね)平安時代(へいあんじだい)(8世紀(せいき)から12世紀(せいき)の末)の役人(やくにん)学者(がくしゃ)としても有名でした。でも、道真(みちざね)地位(ちい)()とされて、当時(とうじ)(みやこ)である京都(きょうと)から(はな)れた「大宰府(だざいふ)」という(ところ)に行かされてしまいます。道真(みちざね)京都(きょうと)の家を出るときに、いつも(あい)していたウメの木に(たい)して、自分がいなくなっても(はる)(わす)れずにちゃんと花を()かせなさい、という和歌(わか)(つく)ります。すると、そのウメの木がのちに大宰府(だざいふ)まで()んで行ったというのです。そのことから、道真(みちざね)神様(かみさま)としている神社(じんじゃ)ではウメの花の紋章(もんしょう)使(つか)っています。

ウメの花の(もん)

道真(みちざね)神様(かみさま)としている神社(じんじゃ)は、福岡(ふくおか)(けん)太宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)京都(きょうと)()北野天満宮(きたのてんまんぐう)、東京の湯島天満宮(ゆしまてんまんぐう)亀戸(かめいど)天神社(てんじんしゃ)が有名です。道真(みちざね)はすぐれた学者(がくしゃ)でしたので、これらの神社(じんじゃ)学問(がくもん)神様(かみさま)としても有名です。そのため、受験(じゅけん)のシーズンになると、多くの人が希望(きぼう)の学校に()かるようにとおいのりに行きます。

文:神永曉

写真:写真AC

イラスト:イラストAC

(2024.2.20)

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