【四万温泉】
有名なアニメに出てくる温泉?ニッポンの昔と今を時間旅行!!
最近は、日本のアニメを見たことがきっかけで、日本語の勉強をはじめる人がとても多いですね。もしかしたら今回行く温泉は、そんなみなさんが知っている場所かもしれません。
上の写真を見てください。赤い橋と、三階建ての建物が、とてもきれいですね。どこかで、この風景を見たことがありませんか? 有名な日本のアニメ映画『千と千尋の神隠し』に、これとよく似た場面が出てきます。作品をつくった宮崎駿監督も、ここへ来たことがあるそうです。
『千と千尋の神隠し』に出てくる「油屋」と似ている?
積善館
ここは「積善館」という古い旅館で、今から600年近く前にできました。その後、何度か建物を増やしましたが、最初からある木の建物は、日本で一番古い「湯宿建築」です。「湯宿」とは、温泉に入ったり、泊まったりすることができる場所です。このあたりには昔から、温泉が出ていました。いったいどんな温泉なのでしょうか?
四万温泉には、温泉が出る場所(源泉)が42か所もあります。特に胃腸の病気によくきくといわれていますが、お湯の種類や効果は少しずつちがいます。四万温泉の「四万」には、「たくさんの」という意味があるのでしょう。今から70年ほど前に日本の政府が、多くの病気を治す効果のある温泉(国民保養温泉地)を決めた時にも、四万温泉は最初に選ばれました。町には温泉の水を飲むことができる「飲泉所」や、足だけ温泉に入ることができる足湯もあります。
四万温泉の町並み
四万温泉には最近、日本全国や海外から観光客がやってきます。温泉だけが理由ではありません。美しい自然と、なつかしい昔の風景が、姿を変えずに残っていて、特別なふんいきがあるからです。上の写真を見てください。まるで「ドラえもん」に出てくるタイムマシンで、50年前に戻ったみたいでしょう。ここでクイズです。みなさんがいつも利用しているもので、四万温泉には一つもないものが3つあります。それが何かわかりますか?
四万たむら
たくさんの温泉
ヒノキ風呂
大浴場
元禄の湯
次は、最初に紹介した「積善館」の中にあるお風呂、「元禄の湯」です。この建物は1930年につくられました。中の雰囲気も、まるで百年前のようですね。『千と千尋の神隠し』に出てくる湯屋のイメージは、この建物に近いのかもしれません。床はタイル、お風呂は石でできています。お湯はとてもやわらかくて、体をやさしくつつんでくれます。
積善館の内部
外国人への旅行免状(旅行許可証)
積善館には、昔のいろいろな資料がたくさん残っています。中には、百年以上前に、イギリス人が日本の外務省から出してもらった旅行許可証もあります。そのころは、外国人が日本国内を旅行するのは今より何倍も大変でした。交通が不便で時間がかかるだけでなく、国内を移動するのにも許可が必要だったからです。
時代は変わり、今では日本のいろいろな場所で外国人の観光客を見かけます。温泉地では最近、外国人が好きなアニメや漫画に出てくるキャラクターを見かけることが多くなりました。上の写真は数年前に四万温泉でホテルのPRをしていたハローキティと、街のガイドに使われている「麻耶姫」です。麻耶姫は、すぐ近くにある観光地「麻耶の滝」の昔ばなしに出てくる女の子がモデルです。
500年以上の間、人びとを元気にしてきた四万温泉では、昔から変わらないニッポンの風景と、若者に人気のおしゃれな「クールジャパン」が、どちらも輝いて見えました。タイムマシンがなくても、ちがう時代を行ったり来たり「時間旅行」できる四万温泉に、みなさんも行ってみませんか?