草津温泉
草津温泉は群馬県にあり、東京からはバスで4時間ぐらいです。草津の町に着くと、お湯から出る煙がいろいろな場所で上がっていて、みなさんはびっくりするかもしれません。ここは、自然の力で出る温泉の量が1分間に32,300Ⅼ以上で、日本で一番多いのです。草津では普通の水より、温泉のほうが多いとも言われています。
湯畑
それを感じることができる場所が、街の中心にある「湯畑」です。湯畑ではたくさんのお湯が音をたてながらわいていて、高いところから滝のように流れる「湯滝」もあります。夜になると湯畑のまわりは明るく照らされ、美しい夜の光景が楽しめます。
湯滝
夜の湯畑
さて、ここで下にある湯畑の写真をみてください。お湯の中に、四角い木でかこまれた部分がありますね。
今から400年ほど前に、徳川吉宗という人が、この木の中のお湯を、別の入れものに移して、江戸(今の東京)まで何百キロも運ばせていたそうです。鉄道も車もない時代なので、草津から江戸までは数日かかりました。この人は、当時日本でいちばん偉い地位である「将軍」でした。遠くにある草津のお湯に、どうしても入ってみたかったのですね。
昔から草津温泉は、「恋の病以外は、なんでもなおる」といわれてきました。草津のお湯はとても消毒力が強くて、ウイルスを温泉の中に入れるとすぐに死んでしまうので、人のいろいろな病気にもよくききます。草津町と群馬大学の実験で、湯畑のお湯がコロナウイルスのうつる力を99%なくすこともわかりました。お湯の成分は強い酸性なので、中にくぎを入れると、10日ぐらいで全部溶けてしまうそうです。
そんなすごい力をもつお湯に、さっそく入ってみることにしましょう。
湯畑から歩いてすぐの場所に、「白旗の湯」があります。ここは、誰でも入ることができる温泉(公共浴場)で、入るのにお金はいりません。草津には、住民が大切にしている公共浴場が19か所あり、3か所は観光客も入ることができます。服を着がえる場所には、お湯に入るときのきまりが外国語でも書いてあります。
外国語で書いてあるお風呂の入り方
温泉の中に入ってみると、始めは温泉の熱で急に体が熱くなる感じですが、すぐに慣れて、やわらかな感覚が体じゅうに広がります。色が白く、にごったお湯からは独特のにおいがして、まるで別の世界にいるように気持ちがよいです。でも草津のお湯は温度が高いので、あまり長く入っていられません。短い時間で、出たり入ったりするのが良いでしょう。お風呂では、土地の人と会話するのも楽しいです。
草津には温泉が出る場所(源泉)がたくさんあり、お湯の種類も豊富です。時間があれば旅館やホテルに泊まり、ちがいを味わってみるとよいでしょう。
白く、にごったお湯
透明なお湯
そして草津に来たら、草津にしかない温泉の文化も試してみましょう。「湯もみ」と「時間湯」は特に有名です。「湯もみ」とは、お湯に入る前に、長い板を使ってお湯をまぜることです。また「時間湯」とは、「湯もみ」したあとで、熱いお湯にみんなでいっしょに入り、同じ時間に出ることです。どちらも、温泉の温度を下げるための方法です。お湯が熱いからと言って、もし水をたくさん入れたら、温泉の効果がなくなってしまいます。こうやって、みんなでお湯の力を大切に守っているのですね。
草津名物「湯もみ」をPRするイラスト(湯畑前)
今から200年ほど前、草津温泉にとても興味をもった外国人がいました。ドイツから来ていたベルツさんという医者です。ベルツさんは、草津温泉のお湯と、お湯の入り方には、たくさんの病気をなおす効果があることを発見しました。そしてこの後、日本でも温泉を使って病気を治し始めます。今、日本で一番有名な温泉を、最初に有名にしたのは外国人だったのです。
ベルツ
体を元気にしてくれる草津のお湯に入った後、静かなお寺にお参りすれば、明日からまたがんばる力がわいてきます。「恋の病以外は、何でもなおる」という草津温泉ですが、ここに来れば、もしかしたら「恋の病」も、なおってしまうかもしれません。
♪草津よいとこ 一度はおいで~【草津節】
参考:
「草津温泉ポータルサイト」https://www.kusatsu-onsen.ne.jp
文:白石誠
写真:白石誠
(2022.9.9)