日本の行事「年越し①」
12月も終わりに近づくと、慌ただしい気分になったり、また、新しい年を迎えることを楽しみに感じたりしますね。お正月には、「年神様」という新年の神様が一年の幸福や健康をもって家にやってくると言われています。その年神様をお迎えするために、年末(その年の終わり)には掃除をしたり、家を飾ったりして、さまざまな準備をします。どんなことをするのか、一緒に読んでいきましょう。
大掃除
門松
掃除をしてきれいになったら、今度は家を飾りましょう。
まずは門松を門や玄関の前に飾ります。これは年神様が家に入るための目印とされています。門松にもいろいろなものがありますが、基本的に松と竹は使われているようです。なぜこれらの植物を使うのでしょうか。松は冬でも枯れずに葉がついていることから、長寿、つまり長生きの意味があります。竹は折れにくく、上にまっすぐに伸びるため、生命力を表します。ほかには梅や南天などもよく使われます。梅は、2月から3月頃に花を咲かせ、春の訪れを知らせる花で、上品さの象徴です。南天は、「なんてん」という音が「難を転じて福となす」、つまり悪いことをいいことに変えるという意味のことばにつながることから、縁起がいいものとされています。
大きな門松を飾る場所がない場合は、玄関の中などに、小さな門松を飾ればいいでしょう。
南天
しめ縄・しめ飾り
次にしめ縄やしめ飾りです。これも玄関に飾ります。しめ縄は、神様を迎えるのにふさわしい場所だということを示すものです。また、神様がいるところと、そうでないところの境界線ともいわれています。しめ飾りは、しめ縄にお正月らしく縁起のいいものを飾ったものです。例えば、みかんに似た橙という果物、ゆずり葉や裏白という植物などを飾ります。橙は「代々」繫栄する、つまり子どもに恵まれ、これからもずっとこの家が続いていきますように。ゆずり葉は新しい芽が出てから古い葉が落ちることから、子どもが立派に成長し、親からこの家を受け継いでいけますように。そして裏白は、心に裏表がない、また白髪が出るまで長生きできますように、という願いが込められています。
門松もしめ飾りもさまざまな種類があります。どちらも門や玄関など外に飾られているので、機会があれば、見てみると、いろいろな発見があるかもしれません。
鏡餅
そして鏡餅です。なぜ「鏡」餅かというと、昔から鏡には神様がいると信じられていたので、鏡に似た形の餅を作り、年神様の居場所として大切に飾るようになったようです。大小の餅は月と太陽を表し、二つ重ねるのは福が重なりますように、という意味だそうです。そして、鏡餅は飾るだけではありません。地域によって多少違いはあるようですが、だいたい新年の1月11日に、鏡開きといって、鏡餅を食べ、年神様の力を分けてもらって、病気やけがをせずに幸せの多い一年になるように祈ります。
掃除をして、飾りつけもして、年神様を迎える準備ができましたね。さあ、次は何をしましょうか。
文:新階由紀子
写真:写真AC
イラスト:イラストAC
(2022.12.16)