感染症(かんせんしょう)と音楽の類似点(るいじてん)

感染症(かんせんしょう)は、ウイルスや細菌(さいきん)などの病原体(びょうげんたい)が体の中に入って増殖(ぞうしょく)し、発熱(はつねつ)下痢(げり)(せき)などの症状(しょうじょう)が出る病気のことです。そして、その多くが人から人へと感染(かんせん)していきます。人類(じんるい)感染症(かんせんしょう)(かか)わりの歴史(れきし)はとても古く、たとえば、エジプトのミイラから天然痘(てんねんとう)感染(かんせん)した(あと)確認(かくにん)されているそうです。その後も、長い歴史(れきし)の中で私たちはさまざまな感染症(かんせんしょう)(かか)わりながら生きてきました。
音楽もまた、人から人へと感染(かんせん)していきます。それを流行(りゅうこう)と言います。その音楽の流行(りゅうこう)経路(けいろ)と、ウイルスによる感染症(かんせんしょう)拡大(かくだい)する経路(けいろ)()ている、という研究結果(けっか)をカナダのマクマスター大学の数学者(すうがくしゃ)のグループが発表(はっぴょう)しました。
ウイルスには、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ヘルペスウイルス、ノロウイルスなど、いろいろな種類(しゅるい)があり、それによって感染力(かんせんりょく)(ちが)います。音楽にも同じように、ポップス、ロック、ラップ、メタルなど、いろいろな種類(しゅるい)がありますが、音楽もまた種類(しゅるい)によって感染力(かんせんりょく)(ちが)うということがわかったのだそうです。
ストリーミングという音楽の再生(さいせい)の仕方を知っていますか。インターネットに接続(せつぞく)した状態(じょうたい)映像(えいぞう)音声(おんせい)データを楽しむ方式(ほうしき)です。数学者(すうがくしゃ)たちは、ある音楽ストリーミングサービスからダウンロードした14億曲分(おくきょくぶん)のデータを、感染症(かんせんしょう)流行(りゅうこう)する過程(かてい)のモデルに()てはめて実験(じっけん)を行いました。その結果(けっか)感染症(かんせんしょう)拡大(かくだい)のモデルと音楽のダウンロードの傾向(けいこう)がとても()ているということが(あき)らかになったのです。
この実験(じっけん)では、ウイルスの感染力(かんせんりょく)数字(すうじ)(あらわ)しました。たとえば、「2」は、感染者(かんせんしゃ)1人が2人にうつしたということを(あらわ)します。それを音楽に()()えて、1人の人の影響(えいきょう)(だれ)かがその音楽を()くようになったら、それを感染(かんせん)と考えます。1人の人の(すす)めで2人の人が()くようになったら、「2」です。
そのやり方にしたがってした実験(じっけん)結果(けっか)を見ると、一番(いちばん)感染力(かんせんりょく)(よわ)かったのはダンスで「2.8」、(つぎ)がメタルで「3.7」でした。もっとたくさんの人が()きそうなポップスは「35」、ロックは「129」、ヒップホップは「310」という結果(けっか)でした。では、(もっと)も強い感染力(かんせんりょく)を持っていたのは何だったでしょう。それは、エレクトロニカ(電子音楽)でした。その数字(すうじ)は「3430」、つまり、1人の人から3430人に伝染(でんせん)するということだそうです。ウイルス界最強(さいきょう)クラスと言われる麻疹(ましん)ウイルスが「12」から「18」ということなので、エレクトロニカの感染力(かんせんりょく)の高さが想像(そうぞう)(ぜっ)するものだということがよくわかります。

文:加藤早苗

写真:フォトAC

(2021.11.25)

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