道具屋筋とかっぱ橋
明治時代、「千日前道具屋筋」は、たくさんの人が通る通りでした。そして、大正時代になり、その通りには店の人が使う道具を売る店が増えました。さらに昭和時代になって、和食、洋食、中華など、さまざまな料理を作るための道具を売るお店に変わっていきました。それが、今の大阪の「千日前道具屋筋」のはじまりです。
同じころ、東京にも道具を売るお店が集まる通りが生まれます。「かっぱ橋道具街」です。
第二次世界大戦後、日本の経済成長とともに、大阪の「千日前道具屋筋」も東京の「かっぱ橋道具街」も大きく発展していきました。
どちらが「千日前道具屋筋」で、どちらが「かっぱ橋道具街」でしょうか。
「かっぱ橋道具街」は真ん中に大きな道が通っています。車も行ったり来たりする広い場所です。昔はここに大きな川が流れていて、その後、道路になりました。路面電車が走っていたこともあったそうです。それで「かっぱ橋」というように「橋」という名前が残っています。人や自転車、車の通る道と、路面電車の走る道があったことから、今でも大きな道になっているのでしょう。
一方、「千日前道具屋筋」には車は入ることができません。歩いて買い物をする、狭い道になっています。ここは、もともと四天王寺のお大師さんや今宮戎神社などの神社へお参りに行くための参道だったそうです。おみやげを売るお店から、今のように料理の道具を売るお店に変わっていきました。人が歩くための道がそのままお店の並ぶ道になっていったため、こちらは狭い道になっているのでしょう。
それでは、まず、東京の「かっぱ橋道具街」に行ってみましょう。
東京スカイツリーが見えますね。浅草の浅草寺も歩いて10分くらいです。
ここは、はしや皿など、食べるときに使う道具を売る店です。
ここは、包丁を売る店です。料理を作るときの道具ですね。
ここには、冷蔵庫やオーブンなどを売る店もあります。
あれ、これは何でしょうか。おいしそうですね。でも、これは食べられません。食品サンプルと呼ばれる、お店の前に置くための料理のサンプルです。
このお店では、食品サンプルを作ることもできるそうですよ。
「かっぱ橋道具街」には何でもありますね。
はしからはしまで通りを歩けば、お店ができてしまいそうなくらい、いろいろなお店があります。
続いて、大阪の「千日前道具屋筋」に行ってみましょう。
あ、大阪らしい道具がたくさん並んでいますよ。
何を作る道具でしょうか。そうです。たこ焼きです。
そして、これはお好み焼きやイカ焼きを作る道具です。
東京の「かっぱ橋道具街」は、なべがたくさん並んでいましたが、大阪は焼くための道具が多いですね。
それぞれの地域の食べ物の文化を表しているんですね。
ここにも食品サンプルのお店がありました。
キーホルダーやペン立てもあって、かわいいです。
すしのマグネットもいいですね。
どちらの通りも、プロが使う道具を売る場所なので、ショッピングモールやオンラインストアでは手に入らない、特別な道具を買うことができます。
どんな道具があるか、見てみましょう。
これは銅でできた卵焼き用のフライパンです。
卵焼きという料理を作るためだけに作られたフライパンです。
銅でできているので、熱が伝わりやすく、ふわふわの卵焼きを作ることができます。
これは、ずんどうなべです。
うどんやラーメンのスープを作るときに使います。
干した魚や鶏や豚の骨を煮て、スープを作ります。
家にある小さいなべと違って、深さのあるずんどうなべでは、水をたくさん入れて、長い時間をかけて煮ることができるので、おいしいスープができあがります。
これは、おろし器です。
にんにくやしょうが、チーズをおろすための道具です。
おろすというのは、切るのでもなく、潰すのでもなく、おろし器でこすって、細かくすることです。
このおろし器を使うと、ふわふわにおいしくおろすことができます。
おもしろい道具がたくさんありましたね。
もともと、「かっぱ橋道具街」も「千日前道具屋筋」もお店の人しか買うことができない店が多かったのですが、今ではだれでも買い物を楽しむことができます。
観光客にも人気の場所になっています。
どちらも有名な観光地から近いところにありますので、ぜひ一度行ってみてください。
そして、お店の人に使い方を聞いてみましょう。
店の人はみんな道具のプロですから、正しい使い方を教えてくれますよ。
それを使えば、料理がもっと楽しくなりそうですね。
文:新谷知佳
写真:岡野秀夫
(2022.5.20)