絵で意味を伝える
ピクトグラムは、絵で書いた文字のことです。
絵ですから、文字ではありません。でも、文字のように意味がある絵です。
これは、駅やデパートでよく見るピクトグラムです。
トイレの入り口でこれを見た人は、左が女の人用で、右が男の人用のトイレだとわかります。
町の中にもたくさんのピクトグラムがあります。
非常口や、電車やバスの中の優先席の絵も、ピクトグラムです。
ピクトグラムは、1909年にヨーロッパで生まれました。
それは道路標識で、「凸凹しています」、「曲がっています」、「線路があります」、「通れません」という4つの意味を伝えていました。
1909年のパリの道路標識
トイレのピクトグラムを最初に作ったのは、日本だそうです。1964年の東京オリンピックのときです。
世界中から来る人たちは日本語が読めません。英語がわからない人もたくさんいますから、みんなが迷わないように考えました。
そのほかの施設や競技を表すピクトグラムも、東京オリンピックのときに初めて作られたそうです。
そして、その後も、世界中のオリンピックでずっと使われ続けています。
今、世界中のデザイナーが作ったピクトグラムを、あちこちで見ることができます。
トイレのピクトグラムもいろいろな種類があります。
「トイレ」という意味だけでなく、もっとたくさんの情報が入っているものもあります。
これは、タイの空港にありました。
これを見たら、世界中の人たちに、「とてもトイレにいきたい」という気持ちも伝わると思います。
タイでも日本でも、男の人はズボンで、女の人がスカートです。
タイでは、男の人も女の人も白い色ですが、一般的に日本では、男の人が青で女の人が赤です。
日本では色で男女を分けることがよくありますが、世界中のすべての国が、日本と同じではありません。
世の中には、色がわからない人もいます。車椅子の人もいます。
男の人はズボン、女の人はスカートという考え方も、昔と違います。
女の人が、必ずしもスカートをはいているとは限りません。はきたくない人もいます。
それに合わせて、トイレのピクトグラムも変化しています。
これは、アメリカのミネソタ州のメトロポリタン州立大学のトイレのピクトグラムです。
スカートをはいている人、ズボンをはいている人、半分スカートで半分ズボンの人がいます。
「だれでも利用することができる」と書かれています。
文:加藤早苗
写真:フォトAC/加藤早苗/パブリックドメイン
(2021.11.01)