カラス
日本にはたくさんの鳥がいます。特にカラスは、町の中でも、自然の中でも、どこでも見ることができます。みなさんの国では、カラスは人気がありますか。たぶん、人気はありませんよね。それは日本でも同じです。
でも、どうしてカラスは人気がないのでしょうか。色がこわいからですか。それとも、大きい声で「カァ、カァ」と鳴くので、うるさいからですか。町では、カラスがゴミをあさって、道をよごすことがありますね。私は公園でピクニックをしていたとき、カラスにサンドイッチを取られたことがあります。
私もカラスが好きじゃなかったのですが、カラスのことを調べると、少しずつ好きになってきました。そこで、今回はカラスについて、みなさんに紹介します。
写真A
Alpsdake, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
写真B
Alexis Lours, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
日本には大きくわけて2種類のカラスがいます。「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」です。上のAとBの写真を見てください。どちらも黒くて、にていますが、少しちがいます。
では、どちらが「ハシブトガラス」か、わかりますか。ヒントをあげましょう。「ハシ」は「くちばし(口)」という意味です。「ブト」は「ふとい」、「ボソ」は「ほそい」という意味です。Aのカラスは口がふといですね。ですから、Aが「ハシブトガラス」で、Bが「ハシボソガラス」です。
それから、歩き方もちがいます。ハシブトガラスは右足と左足をそろえて小さくジャンプしますが、ハシボソガラスは、人間のように、右、左、右、左と足を一歩ずつ出して歩きます。
また、ハシボソガラスは田んぼや畑など広い場所が好きですから、大きい町の中にはあまりいません。ハシブトガラスは英語の名前がJungle Crowで、せまい場所でも大丈夫ですから、ビルや建物が並ぶにぎやかな町の中によくいます。
巣を作るカラスの夫婦
大人のカラスは、夫婦でいっしょに行動します。3月から4月に巣を作ります。このとき、巣を作るのに、ベランダにかけてあるハンガーを取って、使うことがよくあります。4月から5月に卵を産みます。5月から6月には、赤ちゃんが生まれて、6月から7月に巣を出ます。ときどきカラスが人を襲うことがありますが、5月から6月の子どもを育てているときが多いそうです。赤ちゃんカラスを守るために、お父さんとお母さんのカラスは人間を襲うのです。
つぎに、カラスの一日を見てみましょう。
毎朝、カラスは早く起きて、自分のなわばりに飛んでいきます。なわばりは、自分たちが食べ物を探す場所という意味です。自分たちのなわばりに他のグループのカラスが来たら、けんかをします。午前中に食べ物を食べた後、お昼ごろには休みます。午後は、食べ物を探したり、ぶらぶらしたりします。若いカラスたちはいっしょに遊ぶこともあるそうですよ。学生や会社員みたいですね。夕方になると、カラスは寝る場所に帰ります。秋から冬の間は、公園や森など、木が多い場所に大勢のカラスが集まって寝ます。この場所は集団ねぐらといいます。
和歌山県にある熊野本宮大社
カラスはきらわれることが多いですが、日本にはカラスがシンボルの神社がたくさんあります。カラスは神様のメッセージを伝える鳥だと考えられているからです。「鬼滅の刃」でも、カラスがメッセージを伝えますよね。また、サッカー日本代表チームのエンブレムもカラスです。これらのカラスは「八咫烏」と呼ばれています。足が3本あるのが特徴です。
カラスはあまり人気がない鳥かもしれませんが、実はとても頭がよく、家族を大切にする鳥です。日本では、どこでもカラスを見ることができます。今度カラスを見たとき、「これはハシブトガラスかな? ハシボソガラスかな? 何をしているのかな?」と考えてみてください。きっとおもしろいと思いますよ。
文:福永歩
画像:イラストAC/写真AC/ウィキメディア・コモンズ
(2024.10.18)