五条橋の牛若丸と弁慶
（顔が見えている人物が弁慶、出典：ColBase）
源義経
弁慶の立ち往生
また、弁慶を強い者、強そうにする者と考えて、「内弁慶」という語も生まれました。「内」は家の中という意味です。家にいるときや家族の前では弁慶のように強そうにしたりいばったりしている人でも、外に出たり家族以外の人の前ではまったく元気がなくなるという意味です。そのような人っていますよね。「我が家の一番下の子は内弁慶でこまる」などと使います。
人間の体の部分にも「弁慶」の名が付けられたところがあります。「向こうずね」のことです。俗な言い方ですが、ここの部分を「弁慶の泣き所」と言います。足のひざから下を「すね」と言いますが、「向こうずね」はその前面の部分のことです。この部分は肉があまり付いていないので、そこを何かにぶつけるとすごく痛いと思います。そのため、弁慶ほどの豪傑でも、ここをぶつけると痛がって泣くということからそのように言われるようになりました。
弁慶の泣き所（向こうずね）
この「弁慶の泣き所」という語は、からだの最も弱いところということから、強い者のもっとも弱いところ、ただ一つの弱点という意味でも使われます。「すぐに決められないところがあの人の弁慶の泣き所だ」のように使います。ただ、この場合、「弁慶の」と言わずに「泣き所」とだけ言うこともあります。
着物の文様にも、「弁慶」の名のついたものがあります。「弁慶縞」「弁慶格子」とよばれているものです。紺と緑がかった薄い藍色、紺と茶など2種類の色糸を縦と横の両方に使って、碁盤の目のようにした文様です。弁慶の荒々しいようすを表した文様だと言われています。ほんとうにそう感じられるかどうかはわかりませんが。
弁慶縞
いろいろなところに名前を残した弁慶ですが、実際にはこのような人はいなかった、想像から生まれた人物だという説もあります。でも日本人は弁慶の伝説が大好きで、文学や歌舞伎などさまざまな作品にも登場します。
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