《レディ・リリス》
Lady Lilith by Dante Gabriel Rossetti
1866-1869, 1872-1873, Delaware Art Museum, USA
《レディ・リリス》は、イタリア系イギリス人の画家、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ(1828年〜1882年)によって描かれました。ロセッティは、《オフィーリア》のジョン・エヴァレット・ミレーと並んでイギリスを代表するラファエル前派の画家です。1846年、ロンドンのロイヤル・アカデミー付属美術学校に入学し、そこでミレーと出会いました。
Dante Gabriel Rossetti by George Frederic Watts
1871, National Portrait Gallery, London
《レディ・リリス》は、1866年から1873年にかけて描かれました。この絵では、リリスの左側には部屋の中にあるろうそくと外の庭を映す鏡があり、鏡には木々が映っています。また、右側にはバラがあって、非現実的な空間が描かれています。同じラファエル前派の中でも、精密で細かい描写が得意だったミレーに比べて、ロセッティは全体的にロマンチックで装飾的です。
リリスは、イザヤ書の34章14節に「夜の魔女」として登場します。そして、彼女は豊かな茶色の髪を持ち、男性を誘惑します。男性にとって、彼女はとても魅力的です。リリスは手鏡に自分を映し、その美しさを確かめているように見えます。彼女の後ろには白いバラ、画面右に赤いポピー、そして画面左にピンクのジギタリスがあります。これらの花はリリスの魅力の妖しさを表しています。
バラ
ポピー
ジギタリス
ラファエル前派は、聖書や神話、文学などをモチーフにしていることが多く、全体的に明るく柔らかで、鮮やかな色彩、そして細かい描写が多く見られます。
参考
文:Naoko Ikegami
画像:パブリックドメイン
(2024.4.12)