日本語多読道場 yomujp
1.明石公園(あかしこうえん)
明石駅(あかしえき)の北に明石公園(あかしこうえん)があります。この公園(こうえん)は、1918年、明石城(あかしじょう)の跡(あと)を中心にして作られました。面積(めんせき)は54.8ヘクタール(ha)もある大きな公園(こうえん)です。広い地域全体(ちいきぜんたい)に、樹木(じゅもく)や植物(しょくぶつ)がある、緑豊(みどりゆた)かな公園(こうえん)です。桜(さくら)が美(うつく)しい「桜堀(さくらぼり)」と呼(よ)ばれる場所(ばしょ)もあって、市民(しみん)が落(お)ち着(つ)ける場所(ばしょ)になっています。「お花見」の季節(きせつ)になると、多くの人が集まります。丘(おか)や池(いけ)もあり、散歩(さんぽ)を楽しむのにもぴったりです。明石公園(あかしこうえん)の丘(おか)の上に、兵庫県立図書館(ひょうごけんりつとしょかん)があります。地域(ちいき)のことについて書かれたたくさんの本がそろっていますから、兵庫県(ひょうごけん)の歴史(れきし)や文化(ぶんか)、社会について調(しら)べたいときにたいへん便利(べんり)です。さらに、とても景色(けしき)がいい図書館(としょかん)です。あまり混(こ)んでいないので、のんびりとした気分(きぶん)になります。ほかにも、野球場(やきゅうじょう)やテニスコート、子どもたちが遊(あそ)ぶための遊具(ゆうぐ)が整(ととの)った「子どもの村」と呼(よ)ばれる場所(ばしょ)もあり、幼稚園(ようちえん)の遠足(えんそく)で行く子どもたちもいます。
明石公園 ( あかしこうえん )
明石城 ( あかしじょう の 跡 ( あと
兵庫県立図書館 ( ひょうごけんりつとしょかん
2.明石城(あかしじょう)
明石城(あかしじょう)は、今から400年前につくられたものです。巽櫓(たつみやぐら)・坤櫓(ひつじさるやぐら)という2つの櫓(やぐら)があります。櫓(やぐら)は、城(しろ)を囲(かこ)む壁(かべ)の上につくられた建物です。櫓(やぐら)からは外の様子(ようす)がよく見えますが、外からは中の様子(ようす)があまり見えません。そのため、櫓(やぐら)は、敵(てき)が入るのを防(ふせ)ぎ、敵(てき)を攻撃(こうげき)するのに使われました。この2つの櫓(やぐら)は、三重(さんじゅう)の構造(こうぞう)、つまり三階建(さんがいだ)てになっています。これは、たいへんめずらしいもので、日本国内(にほんこくない)に残(のこ)っている三重櫓(さんじゅうやぐら)は12しかありません。巽櫓(たつみやぐら)と坤櫓(ひつじさるやぐら)はそのうちの2つで、国の重要文化財(じゅうようぶんかざい)に指定(してい)されています。まわりがよく見えるところにつくられていますから、観光客(かんこうきゃく)はもちろん、明石(あかし)に住んでいる人もよく訪(おとず)れます。地域(ちいき)の人々に愛(あい)されている場所(ばしょ)と言っていいでしょう。何よりも、駅のすぐ近くに、このような歴史的(れきしてき)な建物があることに驚(おどろ)きます。駅のホームから、2つの櫓(やぐら)を見ることもできます。明石(あかし)に住んでいる人たちは、通勤(つうきん)する途中(とちゅう)、または日常生活(にちじょうせいかつ)を送りながら、城(しろ)を眺(なが)め、ずっと昔(むかし)の日々(ひび)を思うことができます。それはすてきなことだと思いませんか?
巽櫓 ( たつみやぐら
坤櫓 ( ひつじさるやぐら
3.明石市立文化博物館(あかししりつぶんかはくぶつかん)
明石城(あかしじょう)についてもっとくわしく知りたい人は、明石市立文化博物館(あかししりつぶんかはくぶつかん)に行ってみてはいかがでしょう。ここは明石(あかし)の歴史(れきし)の中で、とくに興味深(きょうみぶか)いことを取(と)り上(あ)げ、8つのテーマに分けて紹介(しょうかい)しています。もちろん、明石城(あかしじょう)についてくわしく知ることができます。かぶとやよろいの展示(てんじ)もあります。私は明石城(あかしじょう)の櫓(やぐら)を見たあとに、もっと知識(ちしき)を得(え)るために、この明石市立文化博物館(あかししりつぶんかはくぶつかん)に行きました。反対(はんたい)に、博物館(はくぶつかん)に行った後(あと)に明石城(あかしじょう)の櫓(やぐら)を見てみるのもいいでしょう。私にとって、城(しろ)の展示(てんじ)は楽しい体験(たいけん)でした。それから、古代(こだい)の展示(てんじ)も興味深(きょうみぶか)いものでした。明石(あかし)には、今から200万年前、現在(げんざい)の日本にはいない動物がすんでいたと言われています。アカシゾウと呼(よ)ばれる象(ぞう)です。ここでは、その骨格標本(こっかくひょうほん)を見学(けんがく)することもできます。今でも、象(ぞう)の骨(ほね)が、明石海峡(あかしかいきょう)で魚をとる網(あみ)にかかって引(ひ)き上(あ)げられていると知り、不思議(ふしぎ)な気持ちになりました。魚をとろうとして、象(ぞう)の骨(ほね)を引(ひ)き上(あ)げるなんて、漁師(りょうし)はどんなに驚(おどろ)いたことでしょう。
アカシゾウの 骨格標本 ( こっかくひょうほん )
明石海峡 ( あかしかいきょう )
4.魚(うお)の棚(たな)
明石(あかし)にはもうひとつたいへん面白(おもしろ)い場所(ばしょ)があります。「魚(うお)の棚(たな)商店街(しょうてんがい)」と呼(よ)ばれるところです。400年近くの古い歴史(れきし)がある商店街(しょうてんがい)です。現在(げんざい)も、たくさんのお店があります。その数(かず)、100近いとのことです。多くの人が、新鮮(しんせん)でおいしい魚や貝(かい)を食べるためにやってきます。明石(あかし)の人はもちろん、神戸(こうべ)や大阪(おおさか)から車で来る人もいます。明石(あかし)の人は、ここを昔から「うおんたな」と呼(よ)んでいました。明石(あかし)の海は海水(かいすい)の流(なが)れが速(はや)いので、おいしい魚が育(そだ)つのにとてもいい場所(ばしょ)です。そして、朝とれた魚が、昼頃(ひるごろ)には魚屋や食堂に届(とど)けられるため、とても新鮮(しんせん)な魚を味わうことができます。私も何度か行きましたが、魚屋の店先(みせさき)で飛(と)びはねている魚や生きているタコを見るのは、楽しい経験(けいけん)です。商店街(しょうてんがい)には、魚がたくさんとれたときに飾(かざ)る旗(はた)が飾(かざ)られています。看板(かんばん)にもタコの絵(え)が並(なら)びます。生きたタコの近くにゆでられたタコが並(なら)んでいるこの場所(ばしょ)は、私にとって、魚のディズニーランドにいるような楽しさを味わう場所(ばしょ)になっています。
魚 ( うお ) の 棚 ( たな ) 商店街 ( しょうてんがい
商店街 ( しょうてんがい ) の 看板 ( かんばん
店先 ( みせさき ) に 並 ( なら ) ぶタコ
5.大蔵海岸(おおくらかいがん)と明石海峡大橋(あかしかいきょうおおはし)
明石(あかし)は東西に細長(ほそなが)く広がっています。海岸線(かいがんせん)は15.6キロ(km)もあり、散歩(さんぽ)を楽しむのにぴったりです。海岸(かいがん)を歩いていると、目の前に明石海峡大橋(あかしかいきょうおおはし)が広がります。明石海峡大橋(あかしかいきょうおおはし)は3991メートル(m)もあり、世界最大(せかいさいだい)のつり橋(ばし)です。橋(はし)は見る者の心をつかみます。大蔵海岸公園(おおくらかいがんこうえん)は、明石海峡大橋(あかしかいきょうおおはし)と淡路島(あわじしま)を見るのにぴったりです。夏には海水浴場(かいすいよくじょう)としてもにぎわいます。けれども、私は、すいているときに、のんびり歩きながら、雄大(ゆうだい)な橋(はし)を見るのが好(す)きです。何度見ても飽(あ)きないほどです。これだけ大きな海峡(かいきょう)に橋(はし)をつくったその技術(ぎじゅつ)に驚(おどろ)かないではいられません。
大蔵海岸 ( おおくらかいがん )
明石海峡大橋 ( あかしかいきょうおおはし
文 :三浦暁子
写真:三浦暁子/Yoshiko Jo/フォトAC
(2021.8.10)