日本語多読道場 yomujp
お箸 ( はし ) のマナー
1.刺(さ)し箸(ばし)
刺 (さ)し箸(ばし)というのは、食べ物を箸(はし)で突(つ)き刺(さ)すことです。箸(はし)がうまく使えていない子どものような印象(いんしょう)を与(あた)えます。また、食材(しょくざい)にきちんと火が通(とお)っているかどうか、確認(かくにん)しているようにも見えるため、料理(りょうり)を作った人に失礼(しつれい)になる、ということもあるようです。
刺(さ)し箸(ばし
2.寄(よ)せ箸(ばし)
食器(しょっき)のふちに箸(はし)をかけ、食器(しょっき)を自分のほうに引(ひ)き寄(よ)せるのが、寄(よ)せ箸(ばし)。食器(しょっき)を倒(たお)してしまったり、テーブルに傷(きず)をつけてしまったりするかもしれません。食器(しょっき)を自分(じぶん)のほうに持ってきたいときは、箸(はし)は一度(いちど)、箸置(はしお)きに置(お)いて、食器(しょっき)を手に持って移動(いどう)させましょう。
寄(よ)せ箸(ばし
3.渡(わた)し箸(ばし)
これは、食器(しょっき)の上に箸(はし)を置(お)くことです。つい、やってしまいがちですね。でも、箸(はし)は箸置(はしお)きに置(お)く癖(くせ)をつけるといいようです。外食(がいしょく)の際(さい)に、箸置(はしお)きがない場合(ばあい)もありますが、そんなときは、箸袋(はしぶくろ)を折(お)って、簡単(かんたん)な箸置(はしお)きを作るのがいいそうです。また、箸(はし)を食器(しょっき)の上に置(お)くのはよくないですが、箸(はし)を小皿(こざら)などのふちにかけて置(お)くのはマナー違反(いはん)ではないので、箸置(はしお)きがないときのために覚(おぼ)えておくといいでしょう。
渡(わた)し箸(ばし
箸袋 ( はしぶくろ で 箸置 ( はしお きを作る
箸 ( はし をふちにかけて 置 ( お く
4.涙箸(なみだばし)
「涙(なみだ)」という言葉(ことば)から、どんな箸(はし)の使(つか)い方(かた)を思い浮(う)かべるでしょうか。涙箸(なみだばし)というのは、料理の汁(しる)をポタポタと落(お)としながら食べることです。汁(しる)が涙(なみだ)のようですね。こんな食(た)べ方(かた)をしたら、どうでしょう。テーブルの上や服(ふく)を汚(よご)してしまいますね。そうならないように、汁(しる)を切ってから食べるようにしましょう。
涙箸(なみだばし)
5.迷(まよ)い箸(ばし)
これは、どの料理を食べるか決(き)まらず、箸(はし)をあちこち動(うご)かすことです。箸(はし)を使わない国や地域(ちいき)でも、例(たと)えばフォークなどを食器(しょっき)から食器(しょっき)へ動(うご)かし、どれを食べるか迷(まよ)うのは、あまり歓迎(かんげい)されないかもしれませんね。料理は作った人の心(こころ)がこもっていて、どれもおいしいはずです。でも、迷(まよ)うということは、どれがおいしいか探(さぐ)っているように見えてしまう場合(ばあい)があります。そのため、迷(まよ)い箸(ばし)は嫌(きら)われるのです。
迷(まよ)い箸(ばし
6.合(あ)わせ箸(ばし)/拾(ひろ)い箸(ばし)
箸(はし)から箸(はし)に食べ物を渡(わた)すこと、これを合(あ)わせ箸(ばし)、または拾(ひろ)い箸(ばし)といいます。なぜこれをしてはいけないか、わかりますか。人が亡(な)くなり、体(からだ)を焼(や)いた後(あと)、骨(ほね)を拾(ひろ)うときに、箸(はし)から箸(はし)に骨(ほね)を渡(わた)して骨壺(こつつぼ)(骨(ほね)を入れるもの)に収(おさ)めることから、合(あ)わせ箸(ばし)、拾(ひろ)い箸(ばし)は、食事のときには絶対(ぜったい)にしてはいけないこととされているのです。
合(あ)わせ箸(ばし/拾(ひろ)い箸(ばし
いかがでしたか。これらの嫌(きら)い箸(ばし)の例(れい)は、あくまでもマナーであって厳(きび)しい規則(きそく)ではありませんし、また地域(ちいき)などによっても違(ちが)いがあるかもしれません。大切なことは、食べ物や作ってくれた人に感謝(かんしゃ)し、いっしょに食べる人が気分を悪くしないように気をつけること、それが美(うつく)しいマナーにつながり、食事も楽しくなるのではないでしょうか。
今度(こんど)はみなさんの国の食事のマナーやスタイルも教えてもらいたいものです。
文:新階由紀子
イラスト:いらすとや
写真:新階由紀子/フォトAC
(2021.10.29)